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「塵埃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塵埃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
道の両側《りょうがわ》はいつのまにか、ごみごみした町家《ちょうか》に変っている。塵埃《ちりぼこ》りにまみれた飾《かざ》り窓と広告の剥《は》げた電柱と、――市と云....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
に付与するであろう。この点では地球の雰囲気にも同様なことがある、すなわち、多数の塵埃の粒が太陽からの輻射を吸収して約五〇ないし六〇度の温度となり、そうしてその温....
映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
場法の適用されない、あの日本中のどこよりも空気が悪いといわれるダーク・ステージの塵埃の中である。そこで会社の命ずるままに夜間撮影をやり、徹夜の強行撮影をやり、ぶ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
々は動かない。そして、うるさいほど肩の数を聳かしている高層建築と大工場。灼熱した塵埃の空に幾百筋も赫く爛れ込んでいる煙突の煙。 小初は腰の左手を上へ挙げて、額....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
べり捲ってるかと思うと、笑声の下から歎息を吐くものもあった。空気が動揺していた。塵埃が舞っていた。焦臭い臭いが充満していた。 無難に持出した帳場デスクの前に重....
駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
所謂勤人ばかりの軒並であった。余の住居は往来から十間奥へ引込んでいたゆえ、静かで塵埃の少ないのを喜んでいた。処が二三年前市区改正になって、表通りを三間半削られた....
時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
なり、そして粗末《そまつ》になった。もうジュウタンなんか見られなかった。板ばりに塵埃《じんあい》や木の葉がたまり放しであった。だがそこにも落とし穴が二つも仕掛け....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
ょと吹流し、と気取るも交って、猫じゃ猫じゃの拍子を合わせ、トコトンと筵を踏むと、塵埃立交る、舞台に赤黒い渦を巻いて、吹流しが腰をしゃなりと流すと、すッとこ被りが....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
んか。)と、病気が治ってから聞いたことがあったよ。そうするとね、東京はからッ風で塵埃が酷いから、眼を悪くせまいための砂除だっていうの、勉強|盛なら洋燈をカッカと....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
また涙含んで、 「袂から出した手巾を、何とそのまあ結構な椅子に掴りながら、人込の塵埃もあろうと払いてくれましたろうではございませんか、私が、あの娘に知己になりま....
余齢初旅」より 著者:上村松園
、さもおいしそうに青天井の下でたべている。軒もひさしもない青天井の下ではさぞかし塵埃もおちて来ようと私にはおもえた。しかし支那人たちはそんなことには一向平気で、....
迷彩」より 著者:上村松園
味描きを試みまして、知合いの人にも贈ったりしました。唐紙の古いのは、ガサガサした塵埃が脱けているような気がして大そう筆の運びがいいように思います。紙もそうですが....
銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
の風俗と色の蒼ざめたるとを見れば某活版所の女工なるべし、花は盛の今の年頃を日々の塵埃と煤にうずめて、あわれ彼女はいかなる希望を持てる、老たる親を養わんとにや。わ....
一日一筆」より 著者:岡本綺堂
、私も殆ど忘れていたが、今や先生の訃音を聞くと同時に、俄にかの字書を思い出して、塵埃を掃いて出して見た。父は十年|前に死んだ。先生も今や亡矣。その当時十五歳の少....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
リに向かう。野外桑園多く、また葡田あり。連日の炎晴、数旬の間降雨なく、野草枯れ、塵埃みなぎる。午後六時着。旅館セントジェームス・ホテルに入る。当夕は市中に遊歩を....