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塵煙
「塵煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塵煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
耳の奥の声 音もなく膨れあがり とびかかってきた 烈しい異状さの空間 たち罩めた
塵煙の きなくさいはためきの間を 走り狂う影 〈あ にげら れる〉 はね起きる腰....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
もっと成長したものとして。そういうものとしての美感を心底に蔵しない者の妄動ぶりは
塵煙りが舞い立つばかりです。道義的な善とはちがったもっと云わば高いもの。そういう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
イのイーリアスともいうべき書物の、精神力もしくはなおよく言えば生命力は、パリーの
塵煙《じんえん》によごれた裸の魂を晩に洗うべき泉であった。彼は書物の神聖な意味を....
「審判」より 著者:カフカフランツ
を中断され、そちらを見ることができるように、眼の上に手をかざした。曇った日の光が
塵煙を白っぽくし、眼をちかちかさせるからであった。それは洗濯していた例の女だが、....
「三国志」より 著者:吉川英治
は、長桿の矛をとって、まっしぐらに駆けだし、敢然顔良へ馬首をぶつけて挑んだが、黄
塵煙るところ、刀影わずか七、八合、顔良の一喝に人馬もろとも、斬り仆された。 つ....
「三国志」より 著者:吉川英治
「あの鼓は。喊声は?」と、前の敵はおいて、うしろの埃に惑い合った。 濛々たる
塵煙の中に、味方ならぬ旗さし物や人馬が見えだした。わけて鮮やかなのは「帥」の一字....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
まち全面にひろまってきた。もうもうと、何かが泰家に迫っている。しかし泰家にはその
塵煙や草ぼこりのうちを駈けみだれる凄まじい騎影や歩兵が、敵か、自軍か、それすら見....