境域[語句情報] » 境域

「境域〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

境域の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鯉魚」より 著者:岡本かの子
》って翠巒《すいらん》に響《ひび》く」という涼《すず》しい詩偈《しげ》そのままの境域であります。 開山より何代目か経《た》って、室町時代も末、この寺に三要とい....
地球盗難」より 著者:海野十三
った。草叢の中に入ってゆくべきだったろうけれど、お美代にとってはあまりに恐ろしい境域だった。 「誰か来てエ。助けて下さ―い。……」 お美代は必死に呼ばわった。....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
光をにじませ、その光はあっても地上はまっ暗なのだ。 すると、この森閑とした死の境域へ、どこか遠くでしている咆哮が聴えてきた。それが、近くもならず遠くもならず、....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
はない。けれど超人はわれら人間とは別ものである。絶対的与者としての超人は、人間の境域を越えた他の世界にいるものである。私たちは何ゆえに愛されたい願いを棄てねばな....
台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
られている。だが、それらは余りに簡素で高潔である。――一方、天后宮や城隍廟の狭い境域には、卑俗な偶像が立並び、物売り店があり、本島人の貧しい人々が群れている。 ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
儀なく滞留していた国へ、スイスへ、喜んでもどっていった。相敵対してる国民間の狭い境域に息づまって自由に渇《かっ》している、当時の多くの人々と同様に、彼もまたヨー....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ろう。しかし彼マリユスは、なおよりよきことをなすべきではなかったろうか。人の住む境域を越えた暗夜のうちに手探りで生きてるそれらの捨てられたる人々は、ただ一重の壁....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
》まで行くと、もう街灯は一つもついていなかった。 群集の地帯を越した後、軍隊の境域を通りすぎたのだった。そして彼はある恐るべきものの中に陥ったような気がした。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
リストフの若き生(曙《あけぼの》、朝、青年)を包括し、家庭および小さな郷国の狭い境域における、彼の感覚と心情との覚醒から、試錬までを含む。この試錬を経て彼は傷つ....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
引上げなければならないようなことは絶対に避けねばなりません。 元来米国の如く、境域広大であって建国の歴史なお若く、いわゆるシニセ(老舗)のなき所に在っては、店....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
に至ったのである。 寂光庵は、新薬師寺を髣髴とする天平建築だった。その物寂びた境域には、一面に菱が浮かんでいる真蒼な池の畔を過ぎて、※子の桟が明らかになって来....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
が地主であったから|馬道へ出る東門(随身門)には矢大臣が祭ってあった。これは神の境域であることを証している。観音の地内とすれば、こんなものは必要ないはずでありま....
「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
もあります。騒音雑然、人事百端とも申すべき俗世界の世の中から、足一たびこの能楽の境域にはいりますと、そこには幽雅な楽器が、わたくしたちの耳塵を払って鳴り響き、典....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
人《いちにん》を選び、その代表的制作品を研究し、応用美術が完全に自由美術の品位と境域にまで到達せる処は世界に唯《ただ》日本あるのみなりとの論断を下さんと欲したり....
エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
どこにも必要欠くべからざる村役人であった。死牛馬の始末、汚物の取片付け、兼ねては境域内外の警邏等の為には、必ず彼らを要したのである。そこで京都の大きな官署を始め....