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境目
「境目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
境目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
る目で葉子を見た。そしてすぐその目を返して、遠ざかった倉地をこめて遠く海と空との
境目にながめ入った。
「わたしあなたとゆっくりお話がしてみたいと思いますが……」....
「地球盗難」より 著者:海野十三
ぬとはちと弱ったが……いいかネ、君。いま人間が一人、溺れ死ぬかどうかという浮沈の
境目だ。綱をしっかり持っているんだぜ」 そう云い捨てるなり、飛行服の男は無頓着....
「島原心中」より 著者:菊池寛
も力強く、僕の胸に投げつけるのです。十年もの間、もがいた末に、なおこうした地獄の
境目を脱すべき曙光を見出し得ない彼女が、自殺を計るということは、当然過ぎるほど、....
「奇妙な遠眼鏡」より 著者:香倶土三鳥
んで行ってその刀の紐を腰に結びつけました。 リイはそれからアア王とサア王の国の
境目にある一番高い山の上に遠眼鏡の魔法で飛んで行って、そこの岩に腰をかけて、遠眼....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
二杯の蕎麦を代えてしまって銭を置いて、すっと出て行った。ここは殆ど下谷と神田との
境目にあるところで、南にむかった彼の足が加賀屋の方へ進むのは判り切っているので、....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
けて、顔を出して、手招きをしている。 偃松は、もう白檜帯と、一線を劃った、その
境目から下は灰色で、上は黯緑だ、黯縁の偃松は、山の峰へ峰へと、岩石を乗り越え、岩....
「海底都市」より 著者:海野十三
先は、やはり尾鰭《おひれ》のような形をしていた。鰭らしいものが、背中と、胸と腹の
境目とにもつづいていた。乳房のある者と、それのない者と両方がいた。 大ざっぱに....
「火星探険」より 著者:海野十三
ネッドは承知をしないで張をにらむ。 「さっきは、僕たちが飢え死をするかどうかの
境目だったから我慢したんだよ。君がいうように僕ひとりで毎日あんな真似をやった日に....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
師はびっくりして飛びのいた。そして大きく目をひらいて洗面器の下を見た。壁と床との
境目が腐れて穴が明いていた。その穴から一匹の大きなどぶ鼠がこっちへ細長い顔をつき....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
気がない。だから、太陽のあたるところはあかるく、あたらぬところはまっくらで、その
境目は、たいへんはっきりしている。昼と夜としかないのが月の世界であった。暁だの夕....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
えだした。杜は女の肩に手をかけた。 「そうだ、お内儀さん。いまが生きるか死ぬかの
境目だッ。生命を助かりたいんなら、どんな痛みでも怺えるんだよ」 女はもう口が利....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
った水の流が、緩く畝って、前後の霞んだ処が、枕からかけて、睫の上へ、自分と何かの
境目へ露れる。…… トその樹の下に、笊か何か手に持って、まあ、膝ぐらいな処まで....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
んだんと押されてくる。ここからが「押し」でここからが「押され」であるというような
境目はどこにもない。一生懸命押していなければ、いつでも自分が押されている関係にな....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
寺の住職と寺男の身元は比較的はっきり分かったよ。 三ヶ寺とも同じような構造で、
境目は崩れかけた土塀にすぎないが、不思議にも住職同士も、また寺男たちもあんまり交....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
か。訳の分らぬ位である。ちょうど今から八、九年前の事であったが、シナ領と法王領の
境目であるナクチューカという所まで、英国の婦人が二人の下僕を連れて我が国へ入る目....