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墓標
「墓標〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墓標の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
群がわんわんうなって二人に襲いかかった。
仁右衛門は死体を背負ったまま、小さな
墓標や石塔の立列《たちつらな》った間の空地に穴を掘りだした。鍬の土に喰い込む音だ....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
でもして行きたいと思ったのである。死罪になった者の死体は投げ込み同様で、もとより
墓標なども見えなかったが、それでも寺僧の情けで新しい卒塔婆《そとば》が一本立って....
「人間灰」より 著者:海野十三
くりの竜幡が二|流ハタハタと揺めいている新仏の墓が懐中電灯の灯りに照し出された。
墓標には女の名前が書いてあったが覚えていない。しかし墓は土をかけたばかりで、土饅....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
十月二十一日 戦災無縁墓の現状が毎日新聞にのっている。 雨に汚れた白木の短い
墓標の林立。「無名親子の墓」「娘十四、五歳、新しき浴衣を着す」「深川区毛利町方面....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
ったのでございますが、ちょうどそのとき雲の切れめを洩れた満月の光が、見渡す限りの
墓標を白々と照らし出して、墓地の周囲の深い木立が、おりからの夜風にサワサワと揺れ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
墓地に近づいた。が、寺は無かった。独立した広い墓地だけに遠慮が無く這入れた。或る
墓標の傍には、大株の木蓮が白い律義な花を盛り上げていた。青苔が、青粉を敷いたよう....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ロンドン近くにいる者は少なく、ただグラハム教授外一、二人会葬したばかりであった。
墓標にも簡単に、 一七九一年九月二十二日生れ ミケル・ファラデー 一八六七年八月....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
の、目を傷ましめるものは何にも残っていなかった。その辺で討死せられた皇軍の方々の
墓標があり、花を供してあった。 将校のお話は真に迫っていて、聴く者みなこみあげ....
「中支遊記」より 著者:上村松園
加した将校さんの説明を聞いた。四辺は既に片づけられ、此処に散華した勇士達の粗末な
墓標が、まだ仮りの姿で立っているだけであるが、季節も丁度こんな頃ではなかったのか....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
青く、見渡すかぎり蒼茫たる青山の共同墓地に入りて、わか葉の扇骨木籬まだ新らしく、
墓標の墨の痕乾きもあえぬ父の墓前に跪きぬ。父はこの月の七日、春雨さむき朝、逝水落....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
った。初夏の夕映の照り輝ける中に門生が誠意を籠めて捧げた百日紅樹下に淋しく立てる
墓標は池辺三山の奔放|淋漓たる筆蹟にて墨黒々と麗わしく二葉亭四迷之墓と勒せられた....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
るものは広く地面を取り、周囲に鉄柵をめぐらし、貧しきものは少々地を高め、その上に
墓標を建て芝を植うる等、みなわが東京青山もしくは谷中の墓地に異ならず。 政教子....
「西航日録」より 著者:井上円了
会し、これに依頼したれば、氏はたちまち校僕を呼びて墓所へ案内せしむ。室内の東方に
墓標あり、西方に碑銘あり。この下に学界の一大偉人の永眠せるを思えば、粛然として、....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
籔蔭に早咲きの梅の匂う浜田圃の畦を散歩しながら、私は良人が延ばしていた前の妻の
墓標を建てることや、珪次の学費の補助のことや、感傷や遠慮を抜いた実質的な相談をし....
「ラスキンの言葉」より 著者:小川未明
分に、歩みを行路病者の墓の前にとゞめて、瞑想したのである。名も知れない人の小さな
墓標が、夏草の繁った一隅に、朽ちかゝった頭を見せていた。あたりは、終日、しめっぽ....