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「墨堤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

墨堤の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ロマネスク」より 著者:太宰治
んの烏《からす》が一羽の鳶《とび》とたたかい、まことに勇壮であったとか、一昨日、墨堤を散歩し奇妙な草花を見つけた、花弁は朝顔に似て小さく豌豆《えんどう》に似て大....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
らず物思いの間《あいだ》に寝転んでいて、この日や天気晴朗とくると必ず一瓢を携えて墨堤に遊ぶ連中《れんじゅう》を云うんです」「そんな連中があるでしょうか」と細君は....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
てこの後も呪っている、或る冷たいたましいのあらわれに他ならないのである。 ……墨堤の桜……ボート競漕……川開きの花火……両国の角力《すもう》や菊……扨《さて》....
明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
いまどばし》のたもと、竹屋の渡しを、山谷堀《さんやぼり》をへだてたとなりにして、墨堤《ぼくてい》の言問《こととい》を、三囲《みめぐり》神社の鳥居の頭を、向岸に見....
丹下左膳」より 著者:林不忘
はくらい。遠乗りにはどの方面がよかろうかな?」 「拙者もよくは存じませぬが、まず墨堤《ぼくてい》……いかがで?」 「ま、よかろう、馬ひけ」 「御意《ぎょい》。供....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
しなくては、ね。 九月十六日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(ジオラマ筆「墨堤より鐘紡を望む」の絵はがき)〕 九月十六日夜。まだ九時半ですが、すこし疲....
小さな旅」より 著者:富田木歩
残映が漂っている。聲風兄の家は彼の辺かと首を伸ばして見やったけれど解らなかった。墨堤の桜は悉く葉になって一片の落花さえ止めない。俥は家路へ真っ直ぐに辿る。私はふ....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
す神寂び、春が来れば桜の花が緑樹の間に爛漫と咲き得も云われない景色ではあったが、墨堤や小金井と事変わり仮装や騒ぎが許可れなかったので、花見る人は比較的少なく常時....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
寮のあるじ一|閑斎は声を上げた。「提灯が! 提灯が! バッサリと!」 その時|墨堤の方角から、女の悲鳴が聞こえて来た。 「ははあ何か出ましたな」 ――与力の....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
戸橋」などいったもの、河岸へ出ると向うに竹屋の渡し船があって、隅田川の流れを隔て墨堤の桜が見える。山谷堀を渡ると、今戸で焼き物の小屋が煙を揚げている。戸沢弁次と....
向嶋」より 著者:永井荷風
らんげん》長語』の二巻は明治三十二、三年の頃に公刊せられた。同書に載せられた春の墨堤《ぼくてい》という一篇を見るに、 「一、塵いまだたたず、土なほ湿りたる暁方....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
である。あの川をはさんだ両側の夜桜の風情の如き外には一寸見られぬものであったが、墨堤の桜が往年の大洪水以来次第に枯れ衰えたと同様に、ここもまた洪水の犠牲となった....