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墨壺
「墨壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墨壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
むべし」 甲野さんはまた日記を取り上げた。青貝の洋筆軸《ペンじく》を、ぽとりと
墨壺《すみつぼ》の底に落す。落したまま容易に上げないと思うと、ついには手を放した....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
る音が交錯していた。たんたん、のみを打ちこむ槌《つち》の音。ぴしりとたたきつける
墨壺のはりきった糸。
それらのざわめきも今はなかった。下小屋の連中はその持場を....
「余と万年筆」より 著者:夏目漱石
ある。唯《ただ》のペンを用い出した余は、印気《インキ》の切れる度毎《たびごと》に
墨壺《すみつぼ》のなかへ筆を浸《ひた》して新たに書き始める煩《わずら》わしさに堪....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
てが、いきなり、 ゆく春や鳥|啼《な》き魚の目はなみだ と、ぶっつけ書きに、
墨壺の水のゆるすだけを大きくなぐりつけて、そうしてその下に、魚と、鳥と、水と、木....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
つの方をすべて粗末にして思わせる。 卓子の上には切りたての鵞ペンと銀の透し彫りの
墨壺がのって居る。 部屋全体に紫っぽい光線が差し込んで前幕と同じ日の夕方近くの様....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。ユシュルーはある日、その「特製品」を通行人にも広告する方がいいと思いついた。で
墨壺《すみつぼ》に刷毛《はけ》を浸し、独特の料理と同じく独特の文字を知っていたの....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。」
その時だれか扉《とびら》をたたく者があった。
四 物を白くするのみなる
墨壺《すみつぼ》
ちょうどその時、なおよく言えばその同じ夕方、マリユスが食卓....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
絵になるとかならぬとか、そうした考えも何もなかった。いきなり直芳は矢立の筆の先を
墨壺に突込まずにはいられなかった。 もう少しで書き終ろうとした時に、ふいと婦人....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
気遣い、汗かき息張るその中に、総棟梁ののっそり十兵衛、皆の仕事を監督りかたがた、
墨壺墨さし矩尺もって胸三寸にある切組を実物にする指図|命令。こう截れああ穿れ、こ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
また何も着ず、二三十ずつ連れだってあるく。人これに逢えども害を作さず、大工の持つ
墨壺を事の外ほしがれでも、遣れば悪しとて与えずと杣たちは語る。言葉は聞えず、声は....