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「墨書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

墨書の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
安重根」より 著者:谷譲次
素養を造らねばならぬということを、私は力説したいのであります。 売薬の名を大きく墨書した白|洋傘をさして、学童の鞄を下げた朝鮮服の男が、安重根と反対側に立って大....
雑沓」より 著者:宮本百合子
書生の字でかいてある。その横の壁のうんと高いところに銀三四九〇とアラビア数字で白墨書きがあり、気がついて見ると、その電話のまわりには、謂わばところきらわず、がさ....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
タリと閉まって真暗い。 鏡板の松は墨絵で、シテ座後方の鴨居に「安和堂」と達筆に墨書した木額が上げて在った。たしか侯爵黒田長成公の筆であったと聞いている。 そ....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
キテ指ヲ中ニサシ入レテ花瓶ノ内側ヲサグリ、中指ガアタルトコロニ、小サク5098ト墨書シアリ。 というわけで、今度は、立派な花瓶が一つのこらず、河の中に投げこま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の中庭の花園へ分け入るようなものである。ただ見返しに誌《しる》された、このぬしの墨書《すみがき》が、なかなかに見事で、しかも女の手、そうして、どうやら床の間の「....
次郎物語」より 著者:下村湖人
すぐその下に自分の姓名を書こうとしたが、それは思いとまった。もし多数の生徒たちが墨書で署名するようだったら、自分も人並に墨書する方がいいと思ったからである。 ....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
仙台へ去ってなし。時に「鮓久」主人妙な一巻を女中に持たせてよこす。表紙には随筆と墨書してあるが、中味はペンで書いたものだ。ここの先々代が古老の話を書きとめておい....
妖怪学」より 著者:井上円了
に寄生する小虫を見る法なりとて、俗間に伝うるものを述ぶるに、小児の掌面に呪文三回墨書し、さらにその上を墨にて塗抹して文字をして不明ならしめ、これを握ること暫時に....
穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
祭には、牛乗権兵衛という神事がある。牛乗りを承る者は、顔へ白粉を塗り額へ大の字を墨書し、裃を着し赤青紙張りの笠を破り、手に長い竹弓と蕪矢《かぶらや》を持つ。牛の....
私本太平記」より 著者:吉川英治
佇んだ。 「……?」 桜の木肌が生々と白く削りとられている。のみならず、それへ墨書きがしてあった。樹脂の滲みで読みづらく墨は散っている。いや高徳には、読むには....