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墨黒
「墨黒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墨黒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
葱の山の中に立っている、竹に燭奴《つけぎ》を挟んだ札《ふだ》の上へ落ちた。札には
墨黒々《すみくろぐろ》と下手《へた》な字で、「一束《ひとたば》四銭《よんせん》」....
「中味と形式」より 著者:夏目漱石
じ》に講演の看板と云いますか、広告と云いますか、夏目漱石君などと云うような名前が
墨黒々と書いて壁に貼《は》りつけてある。何だか雲右衛門か何かが興行のため乗り込ん....
「野分」より 著者:夏目漱石
を翳《かざ》したり、翳さなかったり、何でもしきりに身振《しな》をしている。半紙に
墨黒々と朝妻船《あさづまぶね》とかいて貼《は》り出してあるから、おおかた朝妻船と....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
が、ふと彼の眼を惹いた。 彼は急いで封筒を取上げて裏を返して見た。果して裏には
墨黒々と筆太に支倉喜平と書いてあった。彼は眉をひそめた。 「はてな、どうしてこん....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
者の名前が書いてある。小さな張り板ぐらいの恰好の木枠に白紙を貼って、それに筆太に
墨黒々と「原野九郎」とか「小菅雷三」とか「不破伊勢次」とかそういった感じのする名....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
え込んだ一寸した小庭が出来て居て、ランプを入れた燈籠が立ち、杉皮葺の仮屋根の下に
墨黒々と「彰忠」の二大字を書いた板額が掲って居る。然る可き目的がなければ村芝居の....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
引き上げる。と、どうだ! 額部《ひたい》に書いてあるのだ――「酒の肴に進上」と、
墨黒ぐろ。 両手の指はすっかり切り離され、血に染んだ摺《す》り古木《こぎ》のよ....
「口笛を吹く武士」より 著者:林不忘
。その背中に、「この男売物」と大きく書いた半紙が、貼ってあるのだ。 白い紙に、
墨黒ぐろと――いかにも変な文句。が、何度見ても「この男売物」と読める。 男は、....
「乳房」より 著者:宮本百合子
ち二階へ登って行った。 大小三間がぶっこぬかれていた。正面の長押《なげし》から
墨黒々とビラが下っている。「百三十名馘首絶対反対!」「バス乗換券発行反対! 応援....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
のシャツを着ていた、それは白木綿で母が縫うてくれたのだが、かれはその胸のところに
墨黒々と片仮名で「モクモク」と右から左に書いた。かれがこれを着たとき、すずめがそ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
京都所司代の番士のお長屋の、茶色の土塀へ
墨黒々と、楽書きをしている女があった。
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜に....
「魔像」より 著者:林不忘
変な騒《さわ》ぎだ。 檐《のき》には、四寸の角材《かくざい》に、上下に三本ずつ
墨黒ぐろと太い線を引いた棒が、うやうやしく立てかけてある。棟上げの縁起《えんぎ》....
「藪の鶯」より 著者:三宅花圃
し由は。門に打ちたる標札に。従三位《じゅさんみ》子爵|某《なにがし》と昨日今日|
墨黒《すみぐろ》に書きたるにても知りぬべし。さればその昔し尊王を唱え攘夷《じょう....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
ん、お前さんは?」 佐平次、丸めて捨てようとした。逸早く藤吉が奪った。見ると、
墨黒ぐろと三角の形! 「木槌山の柳の下に、矢尻で掘ったこの印しがあったけのう。」....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
誠意を籠めて捧げた百日紅樹下に淋しく立てる墓標は池辺三山の奔放|淋漓たる筆蹟にて
墨黒々と麗わしく二葉亭四迷之墓と勒せられた。 三山は墓標に揮毫するに方って幾度....