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墳墓の地
「墳墓の地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墳墓の地の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「こころ」より 著者:夏目漱石
た。Kはどうでもなかったと答えたのです。 三度目の夏はちょうど私が永久に父母の
墳墓の地を去ろうと決心した年です。私はその時Kに帰国を勧めましたが、Kは応じませ....
「新生」より 著者:島崎藤村
て巴里を離れるのは慚愧《ざんき》を感ずる。僕には此処《ここ》は旅の土だ。彼等には
墳墓の地だ。感慨無量だ」
巴里から同行した美術家仲間はこの手紙を見てリオンへ向....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
きの女中を加えると、上下の男女四千余人を数える。この大人数が、三百年来住み慣れた
墳墓の地を捨て、百五十里もある南の国へ引き揚げよと命ぜられても、わずか四、五日の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に見切りをつけ、旧い宿場をあきらめ、追い追いと離村するものがある。長く住み慣れた
墳墓の地も捨て、都会をめがけて運命の開拓をこころざす木曾人もなかなかに多い。そう....
「家」より 著者:島崎藤村
屋へ別れを告げに行った。こうして、思出の多い家を出て、お雪は夫より一足先に娘達の
墳墓の地を離れた。 町中にある家へ、彼女が子供や下婢と一緒に着いた時は、お延が....
「旅愁」より 著者:横光利一
。もうここは旅の納めで明日からここを動かぬのだった。ここは自分の生れ出た土地で、
墳墓の地だと思い、いつの間にか人は識らずに自分の屍を埋める場所を、こんなに探し廻....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、まことに礼を失するに当る。が、ふとこの城下を離れた、片原というのは、渠の祖先の
墳墓の地である。 海も山も、斉しく遠い。小県凡杯は――北国の産で、父も母もその....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
祖の地だということが、どうも、絶えずわたしを引きつけて、どうしても肥後の熊本が、
墳墓の地のように思われてなりません」
「御先祖の地は熊本ではない、この尾張の国が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
故《ゆえ》に、平家の残党だと断定するわけにはいきません、日本人は誰も先祖を崇び、
墳墓の地を愛するのです、
墳墓の地を愛して、これを死守せんの心が即ち愛国心の根本な....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らそうしたまでの話に過ぎなかったのでございます。 でも、私が死ぬるまで三浦家の
墳墓の地を離れなかったという事は、その領地の人民の心によほど深い感動を与えたよう....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
平地とを有していた。ネーは高地の縁と斜面とをしか有していなかった。両方ともここを
墳墓の地と根をおろしてるかのようだった。
しかしイギリス軍の衰弱はもはや回復す....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
何等かの事情で他に転住しなければならぬようなことがあるならば、私は恰も父祖伝来の
墳墓の地を捨てて、遠い異国に移住する者の如き大なる勇気を要すると同時に、またその....