壁土[語句情報] » 壁土

「壁土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

壁土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
水の三日」より 著者:芥川竜之介
窓から外を見ると運動場は、処々に水のひいた跡の、じくじくした赤土を残して、まだ、壁土を溶かしたような色をした水が、八月の青空を映しながら、とろりと動かずにたたえ....
沼地」より 著者:芥川竜之介
く》を彩《いろど》るものは、どこを見ても濁った黄色《きいろ》である。まるで濡れた壁土のような、重苦しい黄色である。この画家には草木の色が実際そう見えたのであろう....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
だった。そこでは古い生活は死のような空気のなかで停止していた。思想は書棚を埋める壁土にしか過ぎなかった。壁にかかった星座早見表は午前三時が十月二十何日に目盛をあ....
第五氷河期」より 著者:海野十三
かわった。そのころ、室内は、荒波にもまれる小舟のように上下左右に、はげしく揺れ、壁土は、ばらばらと落ちる、窓ガラスは大きな音をたてて壊れる。濛々たるけむりの中に....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
計は残っておらんぜ。 およし もう一月もしたら、何食うやろうぜ。 甚三 おおかた壁土でも食っているやろう。 甚作 滝の宮の方じゃ、もう松葉食うとるだ。 およし ....
悠々荘」より 著者:芥川竜之介
けりゃ、この萩はこうは咲くもんじゃない。」 「しかしこの芝の上を見給え。こんなに壁土も落ちているだろう。これは君、震災の時に落ちたままになっているのに違いないよ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
ぎだらけのカーテンまがいのもののようであった。それが済むと、老人は背のびをして、壁土をバラバラ落していたが、やがてパッと天井に思いがけなくも明りがついた。驚いて....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
天井板を木葉微塵に砕いていった。彼は勢いにまかせ、ドンドン上に向って出ていった。壁土のようなものがバラバラと落ち、ガラガラと屋根瓦が墜落すると、そのあとから、冷....
時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
は、部屋中を探しまわったあげく、天井の隅のところが震動《しんどう》して、かすかに壁土が落ちてくるのを発見した。 「あッ、天井の上に、誰かいるんだ」 方々探しま....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
。そうかと思うと帆村と正太の押しこめられている壁までが、ずしんずしんとひびいて、壁土がばらばらとおちはじめた。 「これ、人造人間エフ氏。しずまらんか。しずまれと....
○○獣」より 著者:海野十三
○獣なのだ」 それは崩壊してゆくガレージの壁をとった写真だったが、その壊れゆく壁土のそばになんとも奇妙な二つの輪がうつっていた。かなり太い環であった。それは丁....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
もお父様へお目にかけて……) その裾の辺りへ去年の枯れ草を茂らせ、ところどころ壁土を落とした築地。鋲は錆び、瓦は破損み、久しく開けないために、扉に干割れの見え....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
もいろいろに研究し、又それとなく専門家について聞合せてみましたが、人間には好んで壁土や泥などを食べる者、蛇や蚯蚓などを食べる者があります。それは子供に多くござい....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
子江は僕等の船を呑んでもその両岸を我等に示さなかった。ただ水の色が世にも不気味な壁土色をなしているので夫れと知ることが出来るばかりだった。江上を航行すること数時....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
けか忘れたが、この頃は馬鹿に忙がしいというから、何が忙がしいかと訊くと、毎日々々壁土の分析ばかりしているといった。この研究が即ち日本家屋論の一部であった。この日....