壁板[語句情報] » 壁板

「壁板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

壁板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《せきばく》の中にきわ立って響いた。自動平衡器の中にともされた蝋燭《ろうそく》は壁板に奇怪な角度を取って、ゆるぎもせずにぼんやりと光っていた。 戸をあけて甲板....
富士」より 著者:岡本かの子
なさまは部屋の中を見廻しただけでも翁にはすぐそれと知れた。 黒木の柱、梁、また壁板の美事さ、結んでいる葛蔓の逞しさ、簀子《すのこ》の竹材の肉の厚さ、翁は見ただ....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
眠った方が得策だ」と早速天幕を疊み、一同はまたもやゾロゾロと、簷《のき》は傾き、壁板は倒れ、床は朽ちて陥込《おちこ》んでいる廃殿に上《のぼ》り、化物の出そうな変....
熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
仮小屋の中に夜業を続けなければならなかった。十何年前に変わらない雨ざれた小屋は、壁板が割れて風が飛び込み雪が吹き込んだ。屋根は腐って雨が漏るのだった。併し彼等は....
単独行」より 著者:加藤文太郎
あたりに柱を立ててそれに掛けておいてくれるとよいと思った。その後、小屋の主人に、壁板を破ったこと等を話したとき、それを頼んではおいたが。 五日は終日雪が降った....
軽井沢」より 著者:寺田寅彦
入り口のいちばん端にいた浴衣がけの若者が、知らん顔をしてはいたが、片腕でしっかり壁板を突っぱって酔漢がころげ落ちないように垣を作っていた。新青年と旧青年との対照....
獄中記」より 著者:大杉栄
もぐりこんだ。綿入一枚、襦袢一枚の寒さに慄えてもいたのだ。 すると、室の右側の壁板に、 「コツ、コツ。コツ、コツ。コツ、コツ。」 と音がする。僕は飛びあがっ....
続獄中記」より 著者:大杉栄
とがあった。 また向う側の監房で荒れ狂う音がする、 怒鳴り声がする、 歌を歌う、壁板を叩いて騒ぎ立てる。 それでも役人は知らん顔をしてほおって置く。 いくら減食....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
で出入の大工を二、三人呼びよせた。そして二室続きの部屋と第三の室とを仕切っている壁板をぶち抜いて、そこに入口の扉をつけた。削り立ての板には乾きの速い塗料を塗り、....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
《きれじ》で蔽《おお》われていたのでした。それからまた、私どもの祖母時代に属する壁板細工もあります。けれども特にお目にかけたいのは、私の居間《いま》なのです。マ....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
える。孔雀の啼き声と競うように高い鋭い金属性の鸚鵡の啼き声も聞こえて来る。窓外の壁板に纒っている冬薔薇の花が零すのであろう、嗅ぐ人の心を誘って遠い思い出へ運んで....
恐ろしき贈物」より 著者:小酒井不木
た。 死体の横わっている室は、眼もあてられぬ惨状を呈していた。窓硝子、姿見鏡、壁板、額、その他の器具は、粉微塵に砕かれて、その間に血に塗れた肉片が散乱していた....
金銀小判」より 著者:小川未明
した。 外には雪がちらちらと降って、寒い風が吹いて、コトコトと窓の戸や、破れた壁板などを鳴らしていました。元日も、こうして無事に暮れてしまった夜のことでありま....
大きなかに」より 著者:小川未明
れてねずみ色になった、いままでにこんな大きな鳥を見たこともない、鳥の死んだのが、壁板にかかっているのを見てびっくりしました。 「これはなに?」と、太郎は、目を円....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
の西向きの窓は永い間締切りにしてあるのだが、前の下宿の裏側と三間とは隔っていない壁板に西日が射して、それが自分の部屋の東向きの窓障子の磨りガラスに明るく映って、....