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「壮年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

壮年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
きい口の周囲に、旺盛な動物的精力が、恐ろしいひらめきを見せていることは、ほとんど壮年の昔と変りがない。 老人はていねいに上半身の垢を落してしまうと、止《と》め....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
嚀《ていねい》にその会釈を返しながら、そっと子爵の側へ歩を移した。 本多子爵は壮年時代の美貌《びぼう》が、まだ暮方《くれがた》の光の如く肉の落ちた顔のどこかに....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
の前へ歩みよった。そうしてそのテエブルの向うへ、無造作《むぞうさ》に腰を下すと、壮年のような大きな声を出して、「やあ失敬」と声をかけた。 本間さんは何だかわか....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
どいなあ」 渠はこの問答を忌まわしげに空嘯《そらうそぶ》きぬ。 「おまえさんの壮年《とし》で、独身《ひとりみ》で、情婦がないなんて、ほんとに男子《おとこ》の恥....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
の息子だそうだ。苗字は違っているがね」 入って来たのは洋服の服装をきちんとした壮年の紳士であった。私は殆ど忘れて思い出せなかったが、あの作楽井氏の人懐《ひとな....
後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
十七年、すなわち日清戦争のあった年、すなわち今より三十一年前、私がまだ三十三歳の壮年であったときに、海老名《えびな》弾正《だんじょう》君司会のもとに、箱根山上、....
」より 著者:岡本かの子
て、憂愁の蔭を帯びている。時によっては、もっと老けて見え、場合によっては情熱的な壮年者にも見えるときもあった。けれども鋭い理智から来る一種の諦念といったようなも....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
見えれば、メテルリンクのようなハイカラの若紳士も出る。ヒュネカのごとき活気盛んな壮年者もあれば、ブラウニング夫人のごとき才気当るべからざる婦人もいる。いずれも皆....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
見るからに、重大任務をやりとげるのに充分な人達とは、お世辞にも、云えなかったが、壮年男子は、予備後備といわず補充兵役にあるものまでが召集され、北満、極東方面に労....
食魔」より 著者:岡本かの子
持つ世間の知識階級に対し、脅威を感ずるが故に、睥睨しようとする職人上りで頭が高い壮年者と青年は自らの孤独な階級に立籠って脅威し来るものを罵る快を貪るには一あって....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
居た以上K氏と麻川氏は親愛して居るのだそうだ。K氏は、頭を丸刈にしたこっくりした壮年期に入ったばかりの人、吃々として多く語らず、東洋的なロマンチストらしい眼を伏....
雛妓」より 著者:岡本かの子
々巨万の地代を挙げながら、代々の慣習によって中学卒業程度で家督を護らせられている壮年者もある。 横浜開港時代に土地開発に力を尽し、儒学と俳諧にも深い造詣を持ち....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
に偲んで、母親を想うか、お米は恍惚して云った。 ――聞くとともに、辻町は、その壮年を三四年、相州|逗子に過ごした時、新婚の渠の妻女の、病厄のためにまさに絶えな....
荘子」より 著者:岡本かの子
紀元前三世紀のころ、支那では史家が戦国時代と名づけて居る時代のある年の秋、魏の都の郊外|櫟社の附近に一人の壮年=荘子が、木の葉を敷いて休んでいた。 彼はがっちりした体に大ぶ古くなった袍....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
沼南はまた晩年を風紀の廓清に捧げて東奔西走廃娼禁酒を侃々するに寧日なかった。が、壮年の沼南は廃娼よりはむしろ拝娼で艶名隠れもなかった。が、その頃は※紅倚翠を風流....