声の限り[語句情報] » 声の限り

「声の限り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

声の限りの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
! 静かにせんか! 何をするのじゃ! 何をするのじゃ!」 必死に手綱引きしめて声の限り制したが、事の勃発する時というものは仕方がない。さながら狂馬のごとくに鬣....
石狩川」より 著者:本庄陸男
。 四 彼は、立ちどまっては不可《いけ》ない――と、音のない声で、しかも、声の限りに叫んでいる。そう阿賀妻は受け取った――さっさと続けてやってくれ、この景....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とめてみました。 「与八――待ってくれ」 足が動かない―― 「与八――郁太郎」声の限りに呼ぶと、二人の姿は見えずして、光明《こうみょう》の雲が、あたりいっぱい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。 七 「どうしたのです、お雪ちゃん」 事はまさに反対で、声の限り人を呼びさまし、呼びさますことに絶望の揚句、絶叫したその声を聞いて、かえ....
源氏物語」より 著者:紫式部
い風が吹き、人の悲しみを促すような虫の声がするのであるから帰りにくい。 鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜飽かず降る涙かな 車に乗ろうとして命婦はこんな歌を....
悪夢」より 著者:豊島与志雄
立ってる、板塀や石壁や屋根などに、躍り上り攀じ登ってみたい。喉が張り裂けるまで、声の限りに叫んでみたい。自分の前を通る人の頭に、握りしめた拳固を一つ、ぽかりと喰....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のことだか少しも聞き分けられなかった。二人の敵は彼の恥辱を見物しにもどって来て、声の限り怒鳴りたてていた。召使らも来ていた。がやがや騒ぐばかりだった。最後に大打....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なっていた。少年は色青くやせていて、ぼろをまとい、二月の寒空に麻のズボンをつけ、声の限りに歌を歌っていた。 プティー・バンキエ街の角《かど》の所に、腰の曲がっ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
注意を呼びさまされ、たたみ寝台の上に頭をもたげた。相次いでこわされた二つの街灯、声の限りに歌われてる歌、それだけの騒ぎは、日が沈むとすぐに寝ることばかりを考え、....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
気がされてきて、私はひどく悲しくなってきて、私はそのまま地べたに身体を投げだして声の限り泣きたいと思った。雨戸を蹶飛ばして老師の前に躍りだしてやるか――がその勇....