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声を上げる
「声を上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
声を上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ん坊の指に触れた。と、赤ん坊は、針にでも刺されたように、たちまちいたいたしい泣き
声を上げる。平六は、彼をしかろうとして、そうしてまた、やめた。老人の顔が――血の....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
入れた馬鹿|囃子《ばやし》が始まった。橋の上の見物がまた「わあっ」と哂《わら》い
声を上げる。中には人ごみに押された子供の泣き声も聞える。「あらごらんよ、踊ってい....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
巣林《そうりん》より、さて近松様からの書状じゃ。(口の中に黙読する、最後に至りて
声を上げる)こんどの狂言われも心に懸り候ままかくは急飛脚をもって一筆呈上仕り候。....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
がとう。あはははは。 (首を斬る掛け声、太刀音、つづいてきこえる。見物どよめいて
声を上げる) 甚兵衛 (顔色、やや蒼白になったが、笑いを絶たない)あはははは、わ....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
ている三十メートルの円筒の底へドシンと落ちて地響きを立てる……当直が断末魔の呻き
声を上げる……そうだ。そしてそのとき、変な鳴き声を出して、こんな気味のわるい分泌....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ちにも転がっていた。 呻く者、泣く者、喚く者、縛られたまま転げ廻る者、呪詛いの
声を上げる者、……部屋の内はそれらの声で、阿鼻地獄を呈していた。 人の類も様々....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
ッと飛沫をあげている。秩父名物の猿の群が、枝から枝へと飛び移り、二人を見ながら奇
声を上げる。と、闇のような所へ出た。喬木が蔽うているのである。二人は先へ辿って行....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
った。 わたしがこの考えに心をうばわれていると、ふとだれか後ろからとんきょうな
声を上げる者があった。あわててわたしがふり向くと、ゼルビノがわたしのほうへ向かっ....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
係がないというように翼を揮って翔けてもいた。 走って行く力はなくなっていたが、
声を上げる力は残っていた。 で侍女達は慟哭しながら、 「オ――イ! オ――イ!....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
と、その時、屋敷の雨戸の間に、女の姿が現われ、こっちを見たが、急に、悲鳴のような
声を上げると、駈け寄って来、 「お父様、何をなさいます。そのお方は、お父様を警護....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
囲を取り巻いて彼らは一斉に廻り出した。ちょうど凱歌でも奏するように廻りながら叫び
声を上げるのであった。 土人乙女はどこにいるかと私は背後を振り返った。すると乙....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
し戦っているので、目つかっては一大事、声を立てては不可ないと思いながら、つい呻き
声を上げる彼でもあった。 嘉門の領地から遁れ出たものは、相当|夥しい数と見え、....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
とも汝から渡してくれるか! お礼はいうぜ、おい、お渡し! ……いやか? いやなら
声を上げるぜ! お粂の姐ご! 来てくださいまし!」
金兵衛は無数に傷を受けてい....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
に打ちつづけると、かれは更に腕を斬られ、足を打落されて、ただものすごい末期の唸り
声を上げるばかりであった。 「これだから畜生は油断がならねえ。」と、源兵衛は息を....
「城」より 著者:カフカフランツ
い事情によるものなのだということを説明して聞かせようとするかのように、大変な叫び
声を上げるのでした。そして、実際に長いあいだあそこにいくことができないということ....