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声を限りに
「声を限りに〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
声を限りにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
しているばかりである。 震災後二三ヶ月の間のここいらはこんな事ではなかった。皆
声を限りにお客を呼んで、素通りをしても昂奮《のぼ》せ上る位であった。これが今では....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
た人々は、こんどは暗闇の海に向って叫びはじめた。船端から身をのり出すようにして、
声を限りに叫んだ。返事はなく答えるものはただ風と波のおとだけだった。 晴れた朝....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
。感電だ!」 ザアッと湯の波に抗って、朱塗の仁王の如く物凄く突っ立った陽吉が、
声を限りに絶叫したとき、浴客ははじめて総立ちになって振返った。由蔵は垢摺りを持っ....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
言って泣き出す。そこへ犬が吠えついて来て僕も泣き出す。しまいには二人で抱き合って
声を限りに泣いていた。そして通りかかった兵隊になだめられて、ようやく父のところへ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ときどき、食物を求めに熊が来るとのこと、それ以来、鎗温泉から小日向山を乗越すまで
声を限りに歌を唱い通したが、今思うとおかしくてならない。何分初めての山登りでもあ....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
た。 ヒ……人殺し…… 男は短刀を拾おうとした。 三平は拾わせまいとした。
声を限りに叫んだ。 泥棒……人殺しッ…… 男は三平を突き放して逃げようとした....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
切って去った。自分ひとりで利益を占めようと考えたのである。 取り残された樵夫は
声を限りに叫んだが、どうすることも出来なかった。巣に余っている蜜をすすってわずか....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
な猥雑なものですが――小屋の表には後姿の女が裲襠を着て、背を見せている。木戸番は
声を限りに木戸札を叩いて「ヤレ突けそれ突け八文じゃあ安いものじゃ」と怒鳴っている....
「赤旗事件の回顧」より 著者:堺利彦
ような態度だった。巡査らはなおそれを○○たり、○○○たりした。皆はこうしの中から
声を限りにののしりわめいた。○○○! ○○○! ○○! ○○!。巡査らはようやく....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た命の猛き御姿、あの時ばかりは、女子の身でありながら覚えず両手を空にさしあげて、
声を限りにわあッと叫んで了いました……。後で御伺いすると、あの場合、命が御難儀を....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
やア/\拙者は決して怪しい者ではないぞ、漂流いたして難儀の者、助けたまえ」 と
声を限りに手を合せて助けを乞いましたが、弓取る人は、聾か但しは言葉の通ぜぬためか....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
方の死骸に取り縋って、 「お父様!……お父様……、どうなすったのお父様!……」と
声を限りに叫んだ。 ようやくするとジェーブル伯爵は少し身体を動かした。そして途....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
に気がついた。庭のなかを探してみたが、やッぱりいない。そこで父親は道ばたに出て、
声を限りに呼んだ。 「ジャン! ジャーン!」 もう暮色が蒼然とあたりに迫ってい....
「はつ恋」より 著者:神西清
よ」 「立て替えて下さる、立て替えて……」と、公爵夫人はぼそぼそ言ったが、突然、
声を限りにわめき立てた。――「ドゥニャーシカや!」 「ママ、呼鈴があげてあるじゃ....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
うになって、やたらに短刀を振り廻した。助けて――あなた、武さんを押えてよ――。と
声を限りに救いを求める妻の声も、混乱している譲治には何も分らなかったのです。やが....