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声帯
「声帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
声帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
う今ではどこまでも歩こうとは思わなかった。
「まだ君には言わなかったかしら、僕が
声帯《せいたい》を調べて貰った話は?」
「上海《シャンハイ》でかい?」
「いや、....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
《はぐろ》――あるいはそうではないかしら。たとえ黙語にしても、その一番強い発音が
声帯を刺激するとどのように類似した言葉でも、その印象の蔭に、押し隠されてしまうと....
「行人」より 著者:夏目漱石
らなかった。兄の名も嫂《あによめ》の名も彼の前には封じられた言葉のごとく、自分の
声帯を固く括《くく》りつけた。
表慶館で彼は利休の手紙の前へ立って、何々せしめ....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
クララの為めにと云わぬ事はないが、その声の咽喉《のど》を出る時は、塞《ふさ》がる
声帯を無理に押し分ける様であった。血の如き葡萄の酒を髑髏《どくろ》形の盃《さかず....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
んだんな笑い方をした。本気とも御世辞《おせじ》とも片のつかない笑い方だけれども、
声帯に異状のあるような恐ろしい笑い方をした。病気にのみ屈託《くったく》する余も、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
うな次第でございます」 素六は、やっと、気がついた。保狸口という男は、地声か、
声帯模写かはしらないが、声だけ聞いていると、なんのことはない、放送局の杉内アナウ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
云うに、相変らず美しい声である。少しは加減して居る様だが、調子に乗ると吾を忘れて
声帯が震うらしい。語り出しは、今少しだ。鳥辺山は矢張好かった。灯影明るい祇園町の....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
当然であるかもしれない。しかしそうかと言っていわゆる音楽者のほうでは楽器や人間の
声帯の発する音以外のものはいっさい取り扱わないのであるから、連句はもちろん音楽者....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
、この世の最も冷酷な、理由の立たぬ態度ではあるまいか。 暗い思いで沈黙していた
声帯は、これほども濁るものかと思われるほどの、低い太い声で、やがてぽつりと肥満の....
「電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
疑わしい。自分の考えでは温浴のために血行がよくなり、肉体従って精神の緊張が弛んで
声帯の振動も自由になるのが主な原因であるまいかと思う。緊張した時には咳払いをしな....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
治を始めなくてはならないわね。神経衰弱というのは日光と熱と塩分と燐、それに肉体と
声帯の不足から来ているのだから、その方の不足を補えばいいわけよ。塩分は食塩の中に....
「牢獄の半日」より 著者:葉山嘉樹
に、どっと歓声が上がった。 私は何だか涙ぐましい気持になった。数ヶ月の間、私の
声帯はほとんど運動する機会がなかった。また同様に鼓膜も、極めて微細な震動しかしな....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
喜ばれる常套語をもって、十人が十人紋切り型の交語が飛ぶ。それは声色の声色であり、
声帯模写のそのまた
声帯模写である。個性のひらめきを持ち合わさない人々、こんな習わ....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
、ラジオにもよく出るので私のガラガラ声が大衆の周知のものとなった。ラジオや寄席の
声帯模写にもしばしば私の声の声色が登場して苦笑している。徳川夢声氏と対談したとき....
「仏法僧鳥」より 著者:斎藤茂吉
いるところなどは、或は人工的のもののような気もするが、よくよく聴くと、何か生物の
声帯の処をしぼるような肉声を交えている。私は折角運|好くて聴いた仏法僧鳥であるか....