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「声調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

声調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
の 狭霧《さぎり》に将起《たゝん》ぞ 翁は身体を撫でながら愛に絶えないような声調で、微吟した。 山又山の峯の重なりを望むときの翁は、何となく焦慮を感じた。....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
り声の灰汁が脱けている。その上、この学者出の有名な社会事業家は、人格の丸味を一番声調で人に聞き取らせた。老紳士は世間的には逸作の方に馴染みは深かったが、しかし、....
縮図」より 著者:徳田秋声
あり、古い江戸の匂いをかぐような気がして、民衆の間から産まれた芸術だというのと、声調が長唄ほどうわずった騒々しさがないのとで、時には聴く気にもなるのであった。 ....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
んだ。浦中応援隊は応援歌をうたった、手に手に持った赤い旗は波のごとく一起一伏して声調|律呂はきちんきちんと揃う。 選手は入場するやいなやすぐキャッチボールを始....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
歌ったものだ、彼に於て、はじめて醇乎《じゅんこ》たる日本詩人を見るのだ、意気と、声調を以て日本を歌ったものに、古来、彼以上のものがあるか、なんぞと言い出したので....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
鹿にした形と、かの女は内心で評して居る。 ――もう宜いのかい。 逸作の平静な声調は木の葉のそよぎと同じである。「死の様に静だ」と曾て逸作を評したかの女の友人....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
御執らしの梓弓の、長弭(中弭)の音すなり」(巻一・三)というのである。これも流動声調で、繰返しによって進行せしめている点は驚くべきほど優秀である。朝猟夕猟と云っ....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
に僧徒らの姿がいかなるかに気づけるもののごとく、容想たちまちにして忿恚を現わし、声調また激しく変ず)お前たちは何だ、なぜそんな風をして物を言わずに立っているのだ....
雪の日」より 著者:岡本かの子
生おうたいになる歌です。」 ああそうかと、私は心にうなずいて今度は尚々、単純な声調で、 さくら、さくら、弥生の空は、見渡す限り。かすみか雲か、においぞ出ずる....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
五郎の足が立った時、父は霊験への驚異と、感謝と、至誠神明に通じる勝利のよろこびを声調の中にみなぎらせていた。それは技法ではない。実に自然であった。 が父の浄瑠....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
タにわたしたが、アガータははじめそれを辞退した。アガータは単純な曲を弾き、美しい声調でそれに合せたか、客人の珍らしい歌とは違っていた。老人はほれぼれとして聞いて....
兄妹」より 著者:岡本かの子
に馴れているせいか、と文学好きな妹は、フランス語の発音に適する兄の美しい男性的な声調に聞き惚れているのだ。だが、兄の語る言葉は、淋しくうら悲しい、思春期のなやみ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ていらっしゃるの。」 下品な唄を、高調子で繰返す稼ぎのせいか、またうまれつきの声調か、幅があって、そして掠れた声が、気さくな中に、寂しさが含まれる、あわれも、....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
を声明した。それは人々を驚動させた――信仰厚き総督が、まるでメディナ・シドニアの声調を受けついでいるではないか。人々は敵襲に直面するほかはない、三位一体に信頼す....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
式の上だけにとどまらず、勅撰二十一代集が文学の主軸をなした時代というものは、歌の声調までが古今調であったのである。『万葉』の声調と『古今』の声調との間には、かな....