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売声
「売声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
売声の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
》いて拡がれば拡がったまま、風がなくなって垂れれば垂れたままで、少しの頓着もなく
売声はもとより立てずに悠々《ゆうゆう》と歩いていくのだった。
柿江も二十五だっ....
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
呼ぶ。大塚軍曹は上を向いて、 「お光さん、お光さん!」 外所《そと》は豆腐屋の
売声高く夕暮近い往来の気勢《けはい》。とてもこの様子ではと自分は急に起て帰ろうと....
「道楽と職業」より 著者:夏目漱石
時は「柳の虫や赤蛙《あかがえる》」などと云って売りに来た。何にしたものか今はただ
売声だけ覚えています。それから「いたずらものはいないかな」と云って、旗を担《かつ....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
路に足を踏み入れていた。 鋪道には、露店の喰べ物店が一杯に出て、しきりに奇妙な
売声をはりあげて、客を呼んでいた。 三千子は、ふとした気まぐれから、南京豆を売....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
喰町辺では有名な男で、「おはよ/\の――で御座いかな」という言葉が流行った位だ。
売声で今一つ明治前に名高かったのは、十軒店の治郎公というのが、稲荷鮨を夜売り歩い....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
当る、当る、当るというに。如意をそう振廻わしちゃ不可んよ。」 豆府屋の親仁が、
売声をやめて、このきらびやかな一行に見惚れた体で、背後に廻ったり、横に出たり、つ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
で、かの大原女が柴を頂いているように、魚を入れた桶を頂いている姿といい、またその
売声といい、一種|可笑《おかし》なものである。 この私の邸は長く住まわないで、....
「郷土的味覚」より 著者:寺田寅彦
好いのがあったのに」という場合がしばしばあった。「お銀がつくった大ももは」という
売声には色々な郷土伝説的の追憶も結び付いている。それから十市の作さんという楊梅売....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
からであった。 まず居士は糞尿の始末を妹君にさせた。その時、「納豆々々」という
売声が裏門に当る前田の邸中に聞こえた。居士は、 「あら納豆売が珍らしく来たよ。」....
「巷の声」より 著者:永井荷風
描いた当世風俗五十番歌合というものに、「風ひきめまいの大奇薬、オッチニイ」とその
売声《うりごえ》が註にしてある。此書は明治四十年の出版であるが、鍋焼温飩の図を出....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
女の声で呼び込まれた。 呼ばれたので急に思い出したように、 「屑ウーイ」と、商
売声を出したから、呼んだ女もおかしくなれば、屑屋も自分ながらてれ臭そうにあおむい....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
く、昔は普通の民家で綿を打ち和らげる為に使用し、その需要が多かったのである。その
売声の「弦召し候らへ」と云うのが、ツルメソと聞えるので、それで彼らはツルメソと呼....