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変哲
「変哲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
変哲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「朱日記」より 著者:泉鏡花
三右衛門なども、鼻の尖を真赤に致して、えらい猿田彦にござります。はは。」 と
変哲もない愛想笑。が、そう云う源助の鼻も赤し、これはいかな事、雑所先生の小鼻のあ....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
て、お濠の形勢を窺っていることは、私にはよく判った。 入ってみると、そこは何の
変哲もないカフェだった。広いと思ったのは、表だけで、莫迦に奥行のない家だった。帆....
「食魔」より 著者:岡本かの子
れだけのものであった。この娘こそ虫が好く虫が好くと思いながら、鼈四郎は、逸子との
変哲もない家庭生活に思わず月日を過し子供も生れてしまった。もう一人檜垣の家の後嗣....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
い。だが、なにより濃厚なのは、あの男が死体運搬車に乗っている姿なんだよ」となんら
変哲もないレヴェズの言動に異様な解釈を述べ、それから噴泉の群像に眼がゆくと、彼は....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
に飛び上って、笑いながら、 「おい、入道とやら。その坊主頭、打ち見たところ、ちと
変哲が無さすぎて、寂しい故、枯木も山の賑いのコブを二つ三つ、坊主山のてっぺんに植....
「流線間諜」より 著者:海野十三
も何気なしに、あのマッチ函を君の一味から買ったのだ、そこは店の表から見ると、何の
変哲もない煙草店だった、だからそんな恐ろしいマッチともしらず、君の仲間が間違えた....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
れ、(旦那衆戻り馬乗らんせんか、)となぜ言わぬ。」 「へい、」と言ったが、車夫は
変哲もない顔色で、そのまま棒立。 二 小父者は外套の袖をふらふら....
「露肆」より 著者:泉鏡花
八通りばかり認めてござりやす、へい。」 「うむ、八通り、この通か、はッはッ、」と
変哲もなく、洒落のめして、 「どうじゃ五厘も投げてやるか。」 「ええ、投銭、お手....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
も、今日に較ぶればとても幼稚なもので、今見るような華やかなものはなかった。何んの
変哲も光彩もないただの火の二、三丈も飛び上るものが、花火として大騒ぎをされたので....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
して生きてゆくことに対して劇しい憂欝を感じさせたのである。 何もかもが、なんの
変哲もなく、ただ悲しく繰返されるだけだった。家へ帰って来て錠前の穴に鍵をさし込む....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
者の度胆を抜くような、そして抜く手も見せぬような巧みに凝られた書出しよりも、何の
変哲もない、一見スラスラと書かれたような「弥生さんのことを書く」という淡々とした....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
的のもので到底一般社会の遊事にはならぬというのと、一は茶事などというものは、頗る
変哲なもの、殊更に形式的なもので、要するに非常識的のものであるとなせる等である、....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
でるのが面白い」 「先の方を見ると、大師様の御堂の御屋根が見えるくらいで、何んの
変哲もないが、後の方をこうして振向いていると、弁天様の松林が、段々沈んで行くのが....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
っても、正確に一間|隔き位いにつっ立って居る白樺の木立ちの物淋しい感じや、なんの
変哲も無く一段と低くなった長方形の地面が、どういう場合に使った跡か一寸解し兼ねる....
「電報」より 著者:織田作之助
める、馬車の乗客が「おい、見ろ、昭和二十年の太陽だ」という――ただそれだけの何の
変哲もない他愛もない夢であるが、この夢から私は次のように短かい物語を作ってみた。....