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変哲もない
「変哲もない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
変哲もないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「朱日記」より 著者:泉鏡花
三右衛門なども、鼻の尖を真赤に致して、えらい猿田彦にござります。はは。」 と
変哲もない愛想笑。が、そう云う源助の鼻も赤し、これはいかな事、雑所先生の小鼻のあ....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
て、お濠の形勢を窺っていることは、私にはよく判った。 入ってみると、そこは何の
変哲もないカフェだった。広いと思ったのは、表だけで、莫迦に奥行のない家だった。帆....
「食魔」より 著者:岡本かの子
れだけのものであった。この娘こそ虫が好く虫が好くと思いながら、鼈四郎は、逸子との
変哲もない家庭生活に思わず月日を過し子供も生れてしまった。もう一人檜垣の家の後嗣....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
い。だが、なにより濃厚なのは、あの男が死体運搬車に乗っている姿なんだよ」となんら
変哲もないレヴェズの言動に異様な解釈を述べ、それから噴泉の群像に眼がゆくと、彼は....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ら左へ折れて、一町あまり歩いて行くとそこに有名な人穴があるが、今では奥行数十間、
変哲もない岩穴であって、富士講開祖角行の墓や浅間神社の小さい祠や石塔などが立って....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
を止めた。どう考えても解らなかった。で兎も角も接近し、其家の様子を見ようとした。
変哲もない家であった。ただ普通の百姓家であった。表と裏とに出入口があって、粗末な....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
覧させて頂き度、此事前以て呉れ/″\も御願い申して置きます云々」 一寸見て別に
変哲もない願書だが、彼は此願書に例の細字で数百字認めた金沢市長宛の葉書の写しを添....
「流線間諜」より 著者:海野十三
も何気なしに、あのマッチ函を君の一味から買ったのだ、そこは店の表から見ると、何の
変哲もない煙草店だった、だからそんな恐ろしいマッチともしらず、君の仲間が間違えた....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
れ、(旦那衆戻り馬乗らんせんか、)となぜ言わぬ。」 「へい、」と言ったが、車夫は
変哲もない顔色で、そのまま棒立。 二 小父者は外套の袖をふらふら....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
であろうが、私は、精神病院と結核療養所の位置を変えたらよかろう、と、鉄格子から、
変哲もない都会の屋根や電線を眺め、電車の録音をきゝながら考えていた。 私は、然....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
て死の崖へ追いつめられていた様子ですから、あの人柄ではいつ何時プイと死んでも別に
変哲もないことに思われただけのことでした。 あのバカも死んだかと思いました。ギ....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
者の度胆を抜くような、そして抜く手も見せぬような巧みに凝られた書出しよりも、何の
変哲もない、一見スラスラと書かれたような「弥生さんのことを書く」という淡々とした....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
でるのが面白い」 「先の方を見ると、大師様の御堂の御屋根が見えるくらいで、何んの
変哲もないが、後の方をこうして振向いていると、弁天様の松林が、段々沈んで行くのが....
「電報」より 著者:織田作之助
める、馬車の乗客が「おい、見ろ、昭和二十年の太陽だ」という――ただそれだけの何の
変哲もない他愛もない夢であるが、この夢から私は次のように短かい物語を作ってみた。....
「河豚は毒魚か」より 著者:北大路魯山人
タバコに似ている。 ひとたびふぐを前にしては、明石だいの刺身も、おこぜのちりも
変哲もないことになってしまい、食指が動かない。ここに至って、ふぐの味の断然たるも....