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夏向き
「夏向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夏向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ようだから、削っちまいなよ。ほんとうにしようがねえな。どきな、どきな。どうやら、
夏向きで涼しい幽霊のようだから、ちょっくら生きのいいお手本を見せてやろう。――い....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
とより上等の食いものではない。しかもほんとうの水貝に比較すれば、その価が廉くて、
夏向きで、いかにも民衆的であるところが此の「水貝」の生命で、いつの時代に誰が考え....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
を弱めてしかも適宜な空気の流通を調節する効果をもっている。 日本の家は南洋風で
夏向きにできているから日本人は南洋から来たのだという説を立てた西洋人がいた。原始....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
女の足の裏と如何に差別があるかを知らないのを頗る遺憾に思う。 脂肪過多はどうも
夏向きでない、でぶでぶと肥えた人たちは、真夏において殊に閉口しているのを私はよく....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
馴れぬ獣のごとく、洋へ躍込んだ、一方は長者園の浜で、逗子から森戸、葉山をかけて、
夏向き海水浴の時分、人死のあるのは、この辺ではここが多い。 一夏|激い暑さに、....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
に、さっき弾きあきたらしい三味線が一|梃《ちょう》、投げだしてあるきり、まことに
夏向きの、ガランとした家で、花がるたを散らしに貼った地ぶくろも、いかさまお藤|姐....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
店は、その販売する品種が二三に限られて居りますので、春に忙しい店は、秋は淋しく、
夏向きの店は、冬は休業同様であります。これでは百貨店対抗は難しい事でありますから....
「魔像」より 著者:林不忘
け》ない。どうもお前をつれて歩くと、口が悪いんで冷《ひや》ひやするよ」 「へえ、
夏向きのお供でござい」 「冗談じゃアないぜ。ひょっとして、脇坂様御家中の方のお耳....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
そりと寂しくなつた。観音堂裏は、昔の不夜城の入口で、今僅かに玉ころがしや空気銃、
夏向きには鮒釣りなどで、職人肌の兄貴連を引きつけて居るが、弦歌のひゞきぱたりと絶....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
この前話した火消し人形のようなものから、いろいろ妙なものがありますが、その中で、
夏向きになって来ると、種々な虫の形を土で拵えて足は針金で羽根は寒冷紗または適当な....
「怪談劇」より 著者:岡本綺堂
、世話物は舞台の装置も人物の扮装もアッサリしていて暑苦しくない。それがまず第一に
夏向きである。第二には、暑中の観客はとかくに茹り易い。その茹り気分を強く刺戟する....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、桃、楡その他チベットの異様の樹があちこちに植えられてある。花は一体チベットでは
夏向きの花は沢山咲きますけれども、冬はほとんど花などを見ることが出来ない。その花....
「富籤」より 著者:神西清
健康で、温かいどころか熱いほどだった。いま彼はオクローシカという氷のように冷たい
夏向きのスープを詰めこんで、川岸の熱いほど焼けた砂の上に仰向けに寝ころがる。それ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
儲けが少いし、二人掛りでする程でもないと、冷やしあめの車、道具を売り払った金で、
夏向きの扇子を松屋町筋の問屋から仕入れ、それを並べて店を張ることにした。品物がら....
「夏日小味」より 著者:北大路魯山人
ある場合には、これを称して「竹虎」と言う――京都での話である。 これはまったく
夏向きのもので、朝、昼、晩の、いずれに用いてもよい。まず揚げ豆腐の五分ぐらいの厚....