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夏帯
「夏帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夏帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
ャンハイ》の旅館にいた時より、やや血色の好《い》い敏子《としこ》である。髪にも、
夏帯にも、中形《ちゅうがた》の湯帷子《ゆかた》にも、やはり明暗の斑点を浴びた、白....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
水々しく結いあげた桃割れに、紫紺と水色のすがすがしい大柄の絽縮緬の着物に淡黄色の
夏帯をしめた二十歳を二つ三つ踏みこえたかと思われる純日本趣味の美女がいた。車内に....
「蒲団」より 著者:田山花袋
るい眩しい居間の一隅に坐らせた。美しい姿、当世流の庇髪、派手なネルにオリイヴ色の
夏帯を形よく緊めて、少し斜に坐った艶やかさ。時雄はその姿と相対して、一種|状すべ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
家に箪笥にしまってある着物の話が出た。まだ仕立てたばかりで、仕着けも取らない
夏帯のことなどを、病人は寝ていて気にしはじめた。白牡丹で買ったばかりの古渡りの珊....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
みやげの折詰|二箇半巾に包んで片手にぶら下げて、尻高々とからげれば、妻は一張羅の
夏帯を濡らすまいとて風呂敷を腰に巻き、単衣の裾短に引き上げて、提灯ぶら提げ、人通....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
中に皆帰って来たから、一しょに飯を食って、世間話をしていると、八重子が買いたての
夏帯を、いいでしょうと云って見せに来た。面倒臭いから、「うんいいよ、いいよ。」と....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
、下のお内儀の前を駈けぬけるように玄関へとびだしていった。お内儀の目には、房子の
夏帯の赤いいろが、いつまでも残っていた。そして誰にいうともなく、 「ほんとに女の....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いて頂きますが。あなたのは秋にセルを買うことにしてあります。 私はちゃんとした
夏帯がないから買って下さるそうです。外のときでないから私もよろこんで頂きましょう....
「申訳」より 著者:永井荷風
な櫛もささず、見馴れた在来のハイカラに結い、鼠地の絣のお召に横縦に縞のある博多の
夏帯を締めていた。顔立は面長の色白く、髪の生際襟足ともに鮮に、鼻筋は見事に通って....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
は四、五|間《けん》こちらから、白っぽい絽縮緬《ろちりめん》の着物と青竹の模様の
夏帯とで、すぐにそれと見さだめ、怪訝《かいが》のあまり、車道を横断して土手際の歩....
「蛾」より 著者:室生犀星
ともいいのにと、ふいに、内儀のうつむいている腰のあたりを見ると、金繍のある立派な
夏帯の上に、どこからきて止ったものであるか、一|疋の仄白い毒々しい夜の蛾が、ぼん....
「それから」より 著者:夏目漱石
ち付かなくなった。おれの顔さえ見れば逃げ仕度をすると云って怒った。と嫂は鏡の前で
夏帯の尻を撫《な》でながら代助に話した。 「ひどく、信用を落したもんだな」 代....