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夏衣
「夏衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夏衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
は桟橋の向うに、――枝のつまった葉柳の下に一人の支那美人を発見した。彼女は水色の
夏衣裳《なついしょう》の胸にメダルか何かをぶら下げた、如何にも子供らしい女だった....
「家」より 著者:島崎藤村
、唯、親戚として話そうとしていた。 旅の荷物の中からは、お雪が母に造って貰った
夏衣の類が出て来た。ある懇意な家から餞別に送られたという円みのある包も出て来た。....
「道標」より 著者:宮本百合子
かにいる伸子に向って途切れがちに手をふっている肩はやせて、衣紋《えもん》の正しい
夏衣裳は骨だって見える。
多計代は変っていた。その多計代が、インド洋をとおって....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
(八十九歳時代) 人並にぬきかへぬれと老の身の またはたさむき
夏衣かな 夜蛙 せとちかき苗代小田にかけやとす 月のうへにも....
「源氏物語」より 著者:紫式部
明るみへ出ては困るでしょう」 と中将が言うと、 隠れなきものと知る知る
夏衣きたるをうすき心とぞ見る と源氏も負けてはいないのである。双方ともだらし....
「鶏」より 著者:森鴎外
は、子供が手習に使うような机が据えてある。その前に毛布が畳んで敷いてある。石田は
夏衣袴のままで毛布の上に胡坐を掻いた。そこへ勝手から婆あさんが出て来た。 「鳥は....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
自分の浅墓であると、お菊は努めて自分の疑いを払い退けようとした。 お仙は自分の
夏衣の縫い直しにかかっていたが、日永の針仕事に彼女も倦んで来たらしい、針先も見え....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、暗夜なるも、満天の星光炳然たり。 二十二日、晴れ。朝来、北風冷を送り来たり、
夏衣を脱して冬衣を襲う。海上白波を翻す。スコットランドの連綿たる丘陵を左方に目送....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
様の振りにて、ざれ歌ざまの多く侍るなり。 この言葉は本当である。 今日よりはたつ
夏衣うすくとのみや思ひわたらむ 山彦のこたふる山の時鳥ひと声ぞ聞く 胸は富士袖は....