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「夕星〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夕星の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
髪切虫」より 著者:夢野久作
の上に匐い上りながらそこいらを見まわした。 桐畠の周囲の木立は、大きくまばたく夕星の下に、青々と暮れ悩んでいた。その重なり合った枝と、葉と、幹の向うに白々と国....
帰途」より 著者:水野葉舟
うな光を帯びた碧空《あおぞら》に、日が沈んで行く。黄昏《たそがれ》の空にも、その夕星《ゆうずつ》の光にも、幾日も経たないうちに、馴れてしまった。仮りに死んでいる....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
つぎあげ、低い声で鎮魂歌《レクエイム》を合唱しながら墓地《カンポサンタ》の方へ、夕星の瞬く丘の横道をゆるゆるとのぼっていった。 族長《カボラル》は柩が丘の向う....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
どちがう。遅れたのは、そのせいじゃよ」 立ちくたびれて、砂に坐る者もある。白い夕星が、いつか、播磨灘の空をつつんでいた。 「ア! 見えた」 「見えたか」 「―....
三国志」より 著者:吉川英治
、織りのこして行った幾枚かの蓆を織りあげていた。 手もとが暗くなってくる。白い夕星がもう上にあった。 機を離れて、彼はひとり、裏の桃林を逍遥していた。はや晩....
三国志」より 著者:吉川英治
神気ようやくあたりにたちこめ、壇上壇下人声なく、天地万象また寂たるものであった。夕星の光が白く空にけむる。いつか夜は更けかけていた。孔明はひとたび壇を降りて、油....
三国志」より 著者:吉川英治
「虫の知らせであったか」 と、後になっては、かずかずの兆らせを思い当るのだ。夕星白き下、祭の壇をきずいて、亡き※統の魂魄を招き、遠征の将士みなぬかずいて袖を....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、人の血を嗅いで騒ぐのか、ひどく異様な啼きかただった。 いや鴉だけでなく、白い夕星の見えはじめた山門の上でも、 わあっ…… わああっ…… と、人間たちの....
私本太平記」より 著者:吉川英治
両軍の武者吠えはやまず、敵か味方かの、けじめもつかなくなっていた。 すでに白い夕星を見、風にはなんともいえぬ血臭くて重たい湿度があった。とくに赤橋勢の損害はひ....
」より 著者:吉川英治
ら」 といった。 彦太は、もうどうでもいい気がした。門の外へ出て、芽柳の上の夕星を仰いで、ほっと、生き甦ったような心地だった。すると、樹蔭から、白壁みたいな....