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夕景
「夕景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕景の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
中に、猪牙舟《ちょきぶね》で大川へ漕ぎ出しました。
「あの頃の大川《おおかわ》の
夕景色は、たとい昔の風流には及ばなかったかも知れませんが、それでもなお、どこか浮....
「火星探険」より 著者:海野十三
と岩が燃えるような男性的な風景、巨岩にくっきりと斜陽の影がついて紫色に暮れて行く
夕景などと、見るたびに美しさが違うのであった。四人の少年は、声もなく大谿谷の美に....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
んなことはどうでもよかったのだ。丸窓の外に、暮れていくものしずかな、そして大きな
夕景の中に、じっと、いつまでもいつまでも、とけこんでいれば、よかったのであった。....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。 「嘘でしょう。いつ? 行く暇なんかないじゃないの。」 「今行って来たのよ。」
夕景、銀座へ行くといって出かけた姉であった。新子は姉の非常識に、半ば呆れながら、....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
」 「はい、さようでございます」 「ゆっくり遊んで来るがよい」 「はい、それでは
夕景まで」 小さい風呂敷の包を抱き、小間使のお花は屋敷を出た。 神田小川町の....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
んでござりましたが、よろしくば私ご案内いたし」 「忝けのうござる、では遠慮なく、
夕景にでもなりましたら、散策かたがたご同行を願い……」 「かしこまりましてござり....
「あゝ二十年」より 著者:上村松園
内は清浄を保つことができます。 こうして私は、外の俗塵とは絶縁して、毎日朝から
夕景まで、専心専念、御下命画の筆を執りました。画室内には一ぴきの蝿も蚊も飛ばず、....
「京の夏景色」より 著者:上村松園
っているものは相当多いようです。 また、これも同じようなお話ではございますが、
夕景に川の浅瀬の床几に腰下ろした美人が足を水につけて涼んで居るのも本当に美しいも....
「乳を刺す」より 著者:邦枝完二
いや、あっしこそ、御無礼いたしやしたが、御用は?」 「お嬢様の仰しゃいますには、
夕景にお見え下さるそうでございますが、病人の気が立って居りますので、明朝にして頂....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
礼します。……居堪らなくて、座を立つと、――「散歩をしましょう。上野へでも、秋の
夕景色はまた格別ですよ。」こっちはひけすぎの廊下鳶だ。――森の夕鴉などは性に合わ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
目の冠木門の前に立った。 「そこです、」と、背後から声を懸けたのは、二度目を配る
夕景の牛乳屋の若者で、言い棄てると共に一軒置いて隣邸へ入った。惟うにこの横町へ曲....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
り厳ましかった。或る時一緒に散策して某々知人を番町に尋ねた帰るさに靖国神社近くで
夕景となったから、何処かで夕飯を喰おうというと、この近辺には喰うような家がないと....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
した。陽暦の八月頃は蕎麦の花盛りで非常に綺麗です。私はその時分に仏間に閉じ籠って
夕景までお経を読んで少し疲れて来たかと思いますと颯と吹き来る風の香が非常に馥ばし....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
晴れ。終日メキシコ連山を望みて北走す。日まさに入らんとするとき、残光天を染めて、
夕景もっとも佳なり。 十二日、晴れ。船中の客は九分どおりシナ人、彼らは終日賭博....
「快走」より 著者:岡本かの子
、桃色の西の端れに、藍色の山脈の峰を浮き上らせた。秩父の連山だ! 道子はこういう
夕景色をゆっくり眺めたのは今春女学校を卒業してから一度もなかったような気がした。....