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夕景色
「夕景色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕景色の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
中に、猪牙舟《ちょきぶね》で大川へ漕ぎ出しました。
「あの頃の大川《おおかわ》の
夕景色は、たとい昔の風流には及ばなかったかも知れませんが、それでもなお、どこか浮....
「山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
は博多湾内の光景を今一度見まわした。成る程夕方に違いない。曇っているもんだから、
夕景色が朝景色に見えたんだ。 何ともいえない不安な気持に包まれた吾輩は、取る手....
「家」より 著者:島崎藤村
仙ちゃんも、そこいらまで一緒に見に行きませんか」 豊世が誘うままに、お仙も町の
夕景色を見に出掛けた。 正太は母や叔父を款待そうとして、階梯を上ったり下りたり....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
て来て、難なく捉まった。今更の様だが女の力。
夕方|縁の籐椅子に腰かけて、静に
夕景色を味う。苅あと青い芝生も、庭中の花と云う花も蔭に入り、月下香の香が高く一庭....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
北多摩郡千歳村粕谷の里にて 徳冨健次郎識 上州伊香保千明の三階の障子開きて、
夕景色をながむる婦人。年は十八九。品よき丸髷に結いて、草色の紐つけし小紋縮緬の被....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
っこく、 「あらおもしろの八景や、まず三井寺の鐘の声、石山寺の秋の月、瀬田唐崎の
夕景色、さては花よりおぼろなる、唐崎浜の松をはじめ、凡《およ》そ八景の名所名所の....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
身体中が異様に熱くなったり寒気がしたりし続けているのも暫く忘れながら、その静かな
夕景色を眺めた。彼が急に思いがけず自分の穉《おさな》い頃死んだ母のなんとなく老《....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ようにうなりながら、寒天にちりばめた星くずをなでているだけだった。
もの淋しい
夕景色。
と! この時。
物《もの》の怪《け》にでも憑《つ》かれたように、フ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
《くちばし》の赤い鴉《からす》ばかり。 二人は大言壮語したものの、この冬枯れの
夕景色を見ているうちに、行く末のことも思われて、なんとなく泣き出したいような心持....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
礼します。……居堪らなくて、座を立つと、――「散歩をしましょう。上野へでも、秋の
夕景色はまた格別ですよ。」こっちはひけすぎの廊下鳶だ。――森の夕鴉などは性に合わ....
「快走」より 著者:岡本かの子
、桃色の西の端れに、藍色の山脈の峰を浮き上らせた。秩父の連山だ! 道子はこういう
夕景色をゆっくり眺めたのは今春女学校を卒業してから一度もなかったような気がした。....