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夕涼
「夕涼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕涼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
去って、暮るれば大江戸は宵の五つ――。五つといえば、昔ながらに江戸の町はちょうど
夕涼みのさかりです。虫かごにはまだ少し早いが、そのかわり軒端《のきば》の先には涼....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
2 ついたときにとっぷりと日が暮れて、八丁堀あたり下町かいわいはちょうど今が
夕涼みの出さかりどき、もちろん右門はあの張り紙をくだんの若衆が発見するかぎりにお....
「食魔」より 著者:岡本かの子
味い締められるが故に却って恬淡になれた。 檜垣の主人は、鼈四郎を連れて、鴨川の
夕涼みのゆかから、宮川町辺の赤黒い行灯のかげに至るまで、上品や下品の遊びに連れて....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しても気長に半※ぐらいは待っていなければならない。それには丁度いい時候ですから、
夕涼みながらに山の手は勿論、下町からも続々参詣に来る。そのなかには面白半分の弥次....
「わが町」より 著者:織田作之助
、洋服の仕立職人が大和の在所から送ってくれたといって持って来た西瓜を食べながら、
夕涼みしていた。西瓜の顔を見ると、庖丁を取りだしてくる筈の種吉は、他吉といっしょ....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
れらの存在の意義を語りつつあるのである。 川開き 両国の川開きは年々の隅田川
夕涼みの魁をなし、昔は玉屋鍵屋が承って五月二十八日より上流下流に大伝馬をもやいて....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
、空さりげなく澄める月の影宿す清水に、瓜浸して食いつゝ歯牙香と詩人の洒落る川原の
夕涼み快きをも余所になし、徒らに垣をからみし夕顔の暮れ残るを見ながら白檀の切り屑....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
と湧き立ち燃え上るような焔が日一日と消え去って行く。 軒並みの浴衣の家族が並ぶ
夕涼みがそろそろ引込んでしまう。 以前、私の家では、かかる季節には必ず床の間の....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
き娯楽として、お通は日課の如く参詣せり。 七月の十五日は殊に魂祭の当日なれば、
夕涼より家を出でて独り彼処に赴きけり。 野田山に墓は多けれど詣来る者いと少なく....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
を着て、紺足袋を穿いた、鉄色の目立たぬ胸紐を律義に結んで、懐中物を入れているが、
夕涼から出懸けたのであろう、帽は被らず、髪の短かいのが漆のようで、色の美しく白い....
「置土産」より 著者:国木田独歩
を閉めてしまうなれど夏はそうもできず、置座を店の向こう側なる田のそばまで出しての
夕涼み、お絹お常もこの時ばかりは全くの用なし主人の姪らしく、八時過ぎには何も片づ....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
で来たが、その折門前では、節句目当ての浮絵からくりらしい話し声――。(京四条河原
夕涼みの体。これも夜分の景と変り、ちらりと火が灯ります。首尾よう参りますれば、お....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
ところが、このお綾には既に人知れず言交した人があるのであった。それは朝日川原の
夕涼に人出の多い中をお綾はただ一人で、裏口から出て、そぞろ歩きしていた時の事であ....
「京の夏景色」より 著者:上村松園
すがたを思い浮べて一人楽しんでいる時がないでもありません。 私が十七、八の頃、
夕涼みに四条大橋に行って見ると、橋の下の河の浅瀬には一面に床几が並べられ、ぼんぼ....
「婚期はずれ」より 著者:織田作之助
腰を掛けて並んだ。見て、おたかは何かぞおっとした。長屋の人たちが集まってのいわば
夕涼み話には、娘たちは余り立ちいらず、団扇を膝の上で弄びながらぼんやりときいてい....