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「夕煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夕煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
源おじ」より 著者:国木田独歩
婦は孫に菓子与えなどし、家の事どもひそひそと語りあえり。浦に着きしころは日落ちて夕煙村を罩《こ》め浦を包みつ。帰舟《かえり》は客なかりき。醍醐《だいご》の入江の....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
に立つ孤松の影長々と横たわりつ。目をあぐれば、遠き山々静かに夕日を浴び、麓の方は夕煙諸処に立ち上る。はるか向こうを行く草負い牛の、しかられてもうと鳴く声空に満ち....
赤い煙突」より 著者:渡辺温
来るのを止めてしまったのだから。…… 再び、夏が廻って来た。彼女の赤い煙突は朝夕煙を吐いた。彼女は二階へ上って毎日隣の邸を眺めた。窓敷居に凭って窓から首をさし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
のであります。 夕暮の色は、奥の院から下りて来る。黒崎、出雲《いずも》村の方は夕煙が霞のようになって、宿に迷う初瀬詣《はつせまい》りの笠が、水の中の海月《くら....
わかれ」より 著者:国木田独歩
聞こゆる時あり聞こえかぬる時も多かり。この鐘の最後の一打ちわずかに響きおわるころ夕煙|巷をこめて東の林を離れし月影淡く小川の水に砕けそむれば近きわたりの騎馬隊の....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
で待てば――」 贄川、洗馬も過ぎて、麓の宿場までかかると、すでに陽はかげって、夕煙の這う往来に、軒ごとの燈火が、春の晩ながら、なんともいえない山国の佗しさを瞬....
私本太平記」より 著者:吉川英治
。 “お嗽ひ水”と称する清水や、“笠懸けの森”という伝説の地や、また帝が、山村の夕煙を見て、詠まれたとなす、 よそにのみ 思ひぞやりし 思ひきや たみの竈を か....
私本太平記」より 著者:吉川英治
と、正季へほほえみかけ、そこからは馬上の姿を並べて、もうついそこの、桜井ノ宿の夕煙を望みながら共に駒をうたせていた。 「正季。桜井へは、いつ着いたの」 「は。....