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夕闇
「夕闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
ティノは一瞬間、降魔《ごうま》の十字を切ろうとした。実際その瞬間彼の眼には、この
夕闇に咲いた枝垂桜《しだれざくら》が、それほど無気味《ぶきみ》に見えたのだった。....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
衝《ついたて》と屏風との金が一重《ひとえ》、燻《いぶ》しをかけたように、重々しく
夕闇を破っている。――僕は、この簡素な舞台を見て非常にいい心もちがした。
「人形....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
たのである。
雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。
夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍《いらか》の先....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
い湖のほかは、熊笹の戦《そよ》ぎや苔《こけ》の※《におい》が、かすかに動いている
夕闇があった。彼は今見た夢を思い出しながら、そう云うあたりへ何気《なにげ》なく、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、この洗湯じゃないかと思う。――ちょうどその途端に女湯の暖簾《のれん》をあげて、
夕闇の往来へ出て来たのは、紛れもないお敏でした。なりはこの間と変りなく、撫子模様....
「或る女」より 著者:有島武郎
りこんだ小石川《こいしかわ》の往来を歩き歩き、憤怒の歯ぎしりを止めかねた。それは
夕闇《ゆうやみ》の催した晩秋だった。しかしそれと同時になんだか大切なものを取り落....
「或る女」より 著者:有島武郎
消えるまで葉子を見送った定子の姿がいつまでもいつまでも葉子の心から離れなかった。
夕闇《ゆうやみ》にまぎれた幌《ほろ》の中で葉子は幾度かハンケチを目にあてた。
....
「星座」より 著者:有島武郎
顕微鏡の上にベル・グラスを被せた。いつの間にか助手も学生も研究室にはいなかった。
夕闇が処まだらに部屋の中には漂っていた。
三年近く被り慣れた大黒帽を被り、少し....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
の範囲の住民たちは、この布告を聴くと、老いたるも若きも、共にサッと顔色を変えた。
夕闇深い帝都の空の下には、異常なる光景が出現した。 ラジオの高声器のある戸毎家....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
すと口に銜えた。マッチの火がシューッと鳴って、青年の頤のあたりを黄色く照らした。
夕闇の色がだんだん濃くなってきたのだった。 いま青年の立っているところは、有名....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
ることができ、またせまい屋上へ下りることもできる。 そのようなヘリコプターが、
夕闇がうすくかかって来た空から、とつぜんまい下りて来たので、春木少年はおどろいた....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
れば――」良平はそう思いながら、辷ってもつまずいても走って行った。 やっと遠い
夕闇の中に、村外れの工事場が見えた時、良平は一思いに泣きたくなった。しかしその時....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
に、しばしば寝ころがって、マザーの恐ろしい話を熟読|玩味することだった。そして、
夕闇が濃くなって、書物のページが彼の眼の前で靄のようにかすんでしまうまで、読んで....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
って、透明人間があらわれるのを待つことにします」 博士が警察署をでると、外には
夕闇がせまり、夜になろうとしていた。街角には警備のひとが立ち、三人四人と隊を組ん....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
在」というような趣きが沁々と味われる。山間の自分の村落に近づくにしたがって、薄い
夕闇を透して灯火の影がなつかしい色を放ってちらちらと見え出してくる。そうするとい....