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夕餉
「夕餉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕餉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしの」より 著者:芥川竜之介
上を歩かれたことを、驢馬《ろば》の背にジェルサレムへ入られたことを、悲しい最後の
夕餉《ゆうげ》のことを、橄欖《かんらん》の園のおん祈りのことを、………
神父の....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
じめ。
ひた急ぎに急ぐ彼には、往来を飛びまわる子供たちの群れが小うるさかった。
夕餉《ゆうげ》前のわずかな時間を惜しんで、釣瓶落《つるべお》としに暮れてゆく日ざ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
くれた。その絵の事だよ。」 時雨《しぐれ》の雲の暗い晩、寂しい水菜《みずな》で
夕餉《ゆうげ》が済む、と箸《はし》も下に置かぬ前《さき》から、織次はどうしても持....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
来る。ふだん着の軽い暖かさ、一|椀の熱湯の味のよさ。 小気味のよいほどしたたか
夕餉を食った漁夫たちが、 「親方さんお休み」 と挨拶してぞろぞろ出て行ったあとに....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
剛と交しているらしい安吉老人の話声が、ボソボソと呟くように続く。おとみ婆さんは、
夕餉の仕度に忙しい。 間もなく岳陰荘では、ささやかな食事がはじまった。が、大月....
「食魔」より 著者:岡本かの子
はそれを巧に煮て、春先の夕暮のうす明りで他人の家の留守を預りながら母子二人だけの
夕餉をしたためるのであった。 母親は身の上の素性を息子に語るのを好まなかった。....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
かねて烏啼が的矢に娶わせたいと思っている養女のお志万と、この三人だけの水入らずの
夕餉だった。 お志万は丸ぽちゃの色白の娘で和服好み、襟元はかたくしめているが、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
う、魚の腹を撲りつけるほどの勇気も失せた。おお、姫神――明神は女体にまします――
夕餉の料に、思召しがあるのであろう、とまことに、平和な、安易な、しかも極めて奇特....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
も、必ず、一室を明けておく、内証の珍客のために控えの席へ迎え入れて、滞りなく既に
夕餉を進めた。 されば夫人が座の傍、肩掛、頭巾などを引掛けた、衣桁の際には、萌....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
の方へは近かったのです。 座敷は二階で、だだっ広い、人気の少ないさみしい家で、
夕餉もさびしゅうございました。 若狭鰈――大すきですが、それが附木のように凍っ....
「初雪」より 著者:秋田滋
どこにいても寒さに悩まされた。骨の髄まで冷たくなってしまうような気がした。良人は
夕餉の時刻にならなければ帰って来なかった。絶えず猟に出かけていたからである。猟に....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
た道化師の膝にのって、声をたててキヤッキヤッ笑っていた。 それから三日たって、
夕餉の時刻に、車大工とその女房が膳につこうとすると、子供がいつの間にか家にいなく....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
も、総見の控処で、持もの、預けもの沢山に、かたがた男女の出入が続いたゆえ、ざっと
夕餉を。……銚子だけは手酌でかえた。今夜は一まず引上げよう、乗ものを、と思う処へ....
「幽霊」より 著者:小野佐世男
ら引越荷物をといたりしていたものだが……。 さて、近所に引越そばを配り終って、
夕餉の膳がすんだ時、 「あなた、こんな立派な家なのに、ばかにお家賃が安いじゃあり....
「涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
のころ漸く岩小屋にかえりついたのだった。そして偃松の生枝をもやしては、ささやかな
夕餉を終えた時分には、すでに夜は蒼然と自分のまわりをとりかこんできていた。それは....