多かり[語句情報] »
多かり
「多かり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多かりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
なくさ》さ。こんなことは、馬琴大人の口真似《くちまね》をすれば、そのためしさわに
多かりでげす。」
憎悪の感情は、どっちか優越の意識を持っている以上、起したくも....
「運命」より 著者:幸田露伴
然として之に従いけるに、賽児また饑者には食を与え、凍者には衣を給し、賑済すること
多かりしより、終に追随する者数万に及び、尊びて仏母と称し、其勢甚だ洪大となれり。....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
なり」とあり、考にも、「此幸は十月なれど遠江はよに暖かにて十月に此花にほふとしも
多かり」とあるとおりであろう。私は、昭和十年十一月すえに伊香保温泉で木萩の咲いて....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
走り来て庭を貫きたり。流れの岸には紅楓の類を植えそのほかの庭樹には松、桜、梅など
多かり、栗樹などの雑わるは地柄なるべし、――区何町の豪商が別荘なりといえど家も古....
「秋の筑波山」より 著者:大町桂月
かゝる。蘭を採つたり、つくばねの実を採つたり、山毛欅茸を採つたり、路草くふことも
多かりしかば、斯く五時間も長くかゝりたる也。 男体山へ上る途の名所は、小町桜と....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
しかし、桜木町事件は処置なしですよ。 この御婦人も助かったのだから、わが身の幸
多かりしことをよろこび、もって心の落着きをはかるべし。たまたま、どうも、ジャケン....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
芸なる渟田の佐伯部なりしことを知るべきなり。 このほかにも、古え佐伯部は諸国に
多かりき。その後世に郷名として存するもの、丹波・美濃・越後等に見ゆ。仁賢天皇五年....
「妖怪学」より 著者:井上円了
るがゆえ、齢落つれば死なるによるならんと思わる。その他、かかる類の例はなおなお数
多かり。今、いちいち挙ぐるにたえざれば、これを略す。けだし、世間の風俗、儀式のご....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
社なども皆人の乞うに任せて与うという。秩父は山重なり谷深ければ、むかしは必ず狼の
多かりしなるべく、今もなお折ふしは見ゆというのみか、此山にては月々十九日に飯生酒....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
人には予て毘沙門天此の事を告げ給へり。役を止むべき時にも告げ給ふ。奇妙不思議の事
多かりき。秘して語らず」とある。秘密にしておいて詳しく語らねば、諸書の記事いずれ....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
の槙の板戸や。 源氏桐壺の巻に、 此方彼方心を合せてはしたなめ、煩はせ給ふ時も
多かり。 同手習の巻に、 念仏より外の他業なせそとはしたなめられしかば、…… ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
憤り、日に日に手暴き折檻に、無慙や身内の皮は裂け、血に染みて、紫色に腫れたる痕も
多かりけり。 下枝は我に取縋りて、得堪えぬ苦痛を訴えつつ、助けてよ、と歎くにな....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
しも、当時英国政府信教の自由を許さざるをもって、去りて北米に移住するものはなはだ
多かりし。クロムウェル氏共和政治を唱うるに至りて、その宗初めて勢力を得るに至れり....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
初めて詩作を試み、数十首を得たれども、当時いたって未熟にして、詩句をなさざるもの
多かりしが、今多少の増訂を施して、ここに付記することとなす。まず五言絶句を掲げて....
「濫僧考補遺」より 著者:喜田貞吉
と問ひもはてぬに、「夜は誰と寝ん、常陸の介と寝ん、寝たる肌もよし、(これが末いと
多かり、又)男山の峯の紅葉は、さぞ名に立つ/\」と、頭を転がし振る。いみじく憎く....