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多勢
「多勢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多勢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
て、まるで蝗《いなむし》か何かのように、四方から平太夫へ躍りかかりました。何しろ
多勢《たぜい》に無勢《ぶぜい》と云い、こちらは年よりの事でございますから、こうな....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
らか一方が降参するまで雌雄《しゆう》を争わずにはいられなくなった。この形勢を見た
多勢の若者たちは、あの猪首《いくび》の若者がさし上げた岩を投げると同時に、これま....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
ットに手をさし込もうとしました。僕は一生懸命にそうはさせまいとしましたけれども、
多勢《たぜい》に無勢《ぶぜい》で迚《とて》も叶《かな》いません。僕のポッケットの....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
す。 それが舞台へ懸る途端に、ふわふわと幕を落す。その時|木戸《きど》に立った
多勢《おおぜい》の方を見向いて、 「うふん。」といって、目を剥《む》いて、脳天か....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
うか。主人は九州へ旅行中で、夫人が七日ばかりの留守を、彼だけでは覚束ない。第一、
多勢の客の出入に、茶の給仕さえ鞠子はあやしい、と早瀬は四辺を※したが――後で知れ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
吉時分から、見馴れていながら、何だねえ、騒々しい。 薄 騒がずにはいられません。
多勢に一人、あら切抜けた、図書様がお天守に遁込みました。追掛けますよ。槍まで持出....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
思余って天上で、せめてこの声きこえよと、下界の唄をお唄いの、母君の心を推量って、
多勢の上※たちも、妙なる声をお合せある――唄はその時聞えましょう。明さんが望の唄....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
て、狂と言われ、痴と言われ、愚と言われ、嫉妬と言われ、じんすけと嘲けられつつも、
多勢の人数を狩集めて、あの辺の汽車の沿道一帯を、粟、蕎麦、稲を買求めて、草に刈り....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
先生と知己のいわれを聞いたことはいうまでもなかろう。 「実は、あの、上杉先生の、
多勢のお弟子さん方の。……あなたは、小説がおすきでいらっしゃいますのを、お見受け....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
俯向けて埋めたり。こは鼓の音冴えさせむとてしたるなりき。 揚幕より推出されて、
多勢の見物の見る目恥かしく、しのぶ、小稲とともに狂言のなかに立交りて、舞台に鞠唄....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
やしないよ。」 「いかがですか、こないだ店前へ突出したお手際では怪しいもんだよ。
多勢居る処じゃあないかね。」 「誰がまた姉や、お前だと思うもんか。あの時はどきり....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
をとって、ルムフォード伯と呼ぶことになった。一時、病気の重かったときにも、貧民が
多勢で教会に行って全快の御祈りをするというような、非常な人望であった。十一年振り....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
けておいたそうだけれども、悪戯は依然止まぬ。就中、恐ろしかったというのは、或晩|
多勢の人が来て、雨落ちの傍の大きな水瓶へ種々な物品を入れて、その上に
多勢かかって....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
あれから東照宮の中を抜けて、ぶらぶらしながら谷中の途中、ここが御註文と思うから、
多勢人の居る処じゃ、奥さん――山の井の奥さん。時々、夫人――などというと、顔を赤....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
本所は今日のような工業地ではない。江戸二百年の文明に疲れた生活上の落伍者が比較的
多勢住んでいた町である。従って何処を歩いて見ても、日本橋や京橋のように大商店の並....