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多彩
「多彩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多彩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
はないかと思ったのである。 ところが、田鶴子の身辺を洗ってみると、思いがけなく
多彩な資料が集った。まず第一に田鶴子は三月二十四日――つまり田川の遺書にある日附....
「東京要塞」より 著者:海野十三
あって、或る物識りの故老の言葉を借りると、欧洲大戦当時、ロンドンにおける外交戦の
多彩活況も、これには遠くおよばないそうである。 中でも、国民の注目を一番強く集....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
くの試練にたちむかう、四人の姉妹の、それぞれちがった性格の描写は、まことに、明暗
多彩、克明精細、しかも、この一篇にみなぎる愛と誠とは、いかなる読者の心をも魅了し....
「推理小説論」より 著者:坂口安吾
ガサ・クリスチー女史とエラリイ・クイーンが、そうである。 クリスチー女史の華麗
多彩な天分に至っては、驚嘆のほかはない。あれほどの濫作をして、一作毎に工夫があり....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
サンを片隅にとらえて、たのむ、拝む、はては土下座してまでの懇願哀訴でした。それは
多彩でもあれば執念深くもあり、またどことなく物の哀れもあるようなチャルメラ的なも....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
れず、わけてもその染められた髪には、老|女形の口紅とでも云いたい感じがして、この
多彩な場面をいっそうドギついたものに見せていた。 ところがその時、死体とは反対....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のがあれば、それは短見であろう。試にその珠玉の一つを取って透して見れば、人はその
多彩に驚かされるにちがいない。あの複雑な巴里が、適確な観察の光線の中で、首尾よく....
「十五年」より 著者:岸田国士
感じられるし、そういうものゝなかから“ほんもの”を拾い出し、一定のレパアトリイを
多彩ならしめる工夫をしなければならぬ。 そして一方、新劇としての古典の確立によ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
のに比べて、大阪のは、その物、その場に即して、写実的であり、臨機応変即物的に豊富
多彩な言い廻しが自ら湧いてつきないという趣きがある。おまけにその口の早いこと。こ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
に変化はない。昔は変化があったにしても今の単調な繰返しに考え合せれば、いかに昔が
多彩であろうとも、この譜のような複雑な曲は考えられないのである。段によっては、笛....
「九段」より 著者:坂口安吾
ごとに相当強いらしいけれども、烈火の気性は全然ないのである。ある日、女中が一冊の
多彩の花模様の日記帳を持ってきた。スミレと星と花と雪、これをタカラヅカ調というの....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
が萌えたつ時だ。茶、黄、燻し銀、鼠、鬱紺、淡縹、群がる梢に盛り上がる若葉はなんと
多彩な艶に、日光を吸い込むことか。 叢林の若葉の色沢は、触れれば弾力を感ずるの....
「審判」より 著者:カフカフランツ
々しげな樹が描かれていて、はるかな距離をおいて黒ずんだ草の中に立っていた。背景は
多彩な日没の光景だった。 「いいですね」と、Kは言った。「いただきましょう」 ....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
県大弐の勤王学者、絵師英一蝶、「絵島生島」の生島新五郎、侠客小金井小次郎など多士
多彩だ。しかしこれらの流罪名士の中の英雄はなんといっても源為朝であろう。わたくし....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
たこともなければ、その鳴き声に耳をすましてきいたこともなかった。全く、私にとって
多彩なる自然界に対する、感歎をさらに深からしめたものです。それは別として、子供が....