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多恨
「多恨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多恨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
にぽっかりとならんでいた。悲しい目つきのようだけれども、悲しいというのでもない。
多恨な目だ。多情な目でさえあるかもしれない。そう皮肉な批評家らしく葉子は愛子の目....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の木強漢《ぼくきょうかん》ですら、時々は日曜以外に自弁休養をやるではないか。多感
多恨にして日夜心神を労する吾輩ごとき者は仮令《たとい》猫といえども主人以上に休養....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
燵
雪がまだ融けぬ。
夜、二畳の炬燵に入って、架上の一冊を抽いたら、「多情
多恨」であった。器械的に頁を翻して居ると、ついつり込まれて読み入った。ふっと眼を....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
之丞の、目にも魂にも、それはよく感じられるのだった。
すると、彼も亦《また》、
多恨《たこん》の青春に生きる身ではある。思わず、美しい浪路から瞳をそむけないでは....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
し『根本説一切有部毘奈耶《こんぽんせついっさいうぶびなや》雑事』に、女も蛇も多瞋
多恨、作悪無恩利毒の五過ありと説けるごとく、何といっても女は蛇に化けるに誂《あつ....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
っていた。 イネ国の崩壊! イネの国民にとっては、忘れることのできない一篇の
多恨なる血涙史であったが、アカグマ国人にとっては、それは輝かしき大勝利の絵巻物で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
い出しました。 感|来《きた》って吟声が口をついて出でるのは、白雲も元来が多情
多恨の詩人的素質を多分に持って生れたのみならず、これは清澄の茂太郎を育てつつある....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
龍と私との十年の歳月は多事多難であったが、又、夢のようにも、すぎ去った。私は多情
多恨であり、思い屈し、千々に乱れて、その十年をすごしはしたが、なにか切実ではなか....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
がかつて妙テコレンな病気の折に、ここをせッせと巡礼して、他の勇士の為しがたい多情
多恨の業績をのこしているからである。向うにしてみれば、奇々怪々、しかし奇特なダン....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
りも、オキャンでワガママで酷薄ムザンでセンチで一人ぎめの女の子が可愛いなどと多情
多恨の一生を渡らせられたような気がするが、どうだろう。トマサンが、そうらしい。 ....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
めさまし草』、与謝野鉄幹の『東西南北』が出たころ、露伴の「雲の袖」、紅葉の「多情
多恨」、柳浪の「今戸心中」あたりが書かれた頃に当るはずである。東京に鉄道馬車がは....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
コドキ、ツブタチ、アワダツという三ツの慌しいモガキ方をして死んだそうである。多情
多恨で、失敗を演じているのは神々の通例、大国主などはそれによって人気いや増す有様....
「一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
た。生麦《なまむぎ》にかくれているとつたえられた。鎌倉に忍んでいると伝えられた。
多恨なる美女よ、涙なしに自身の過去《すぎこ》しかたをかえりみ、語られるであろうか....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
アレは空談サ」とばかり一笑に附してしまったから今|以て不可解である。二葉亭は多情
多恨で交友間に聞え、かなり艶聞にも富んでいたらしいが、私は二葉亭に限らず誰とでも....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
、ロマーノフ朝に味方したろう乎、革命党に同感したろう乎、ドッチの肩を持ったろう?
多恨の詩人肌から亡朝の末路に薤露の悲歌を手向けたろうが、ツァールの悲惨な運命を哀....