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多情多恨
「多情多恨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多情多恨の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
した。東風君、僕は実に情《なさ》けなくって泣いたよ」
「そうだろう、芸術家は本来
多情多恨だから、泣いた事には同情するが、話はもっと早く進行させたいものだね」と東....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
炬燵
雪がまだ融けぬ。
夜、二畳の炬燵に入って、架上の一冊を抽いたら、「
多情多恨」であった。器械的に頁を翻して居ると、ついつり込まれて読み入った。ふっと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て歌い出しました。 感|来《きた》って吟声が口をついて出でるのは、白雲も元来が
多情多恨の詩人的素質を多分に持って生れたのみならず、これは清澄の茂太郎を育てつつ....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
金龍と私との十年の歳月は多事多難であったが、又、夢のようにも、すぎ去った。私は
多情多恨であり、思い屈し、千々に乱れて、その十年をすごしはしたが、なにか切実では....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
。私がかつて妙テコレンな病気の折に、ここをせッせと巡礼して、他の勇士の為しがたい
多情多恨の業績をのこしているからである。向うにしてみれば、奇々怪々、しかし奇特な....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
者よりも、オキャンでワガママで酷薄ムザンでセンチで一人ぎめの女の子が可愛いなどと
多情多恨の一生を渡らせられたような気がするが、どうだろう。トマサンが、そうらしい....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
の『めさまし草』、与謝野鉄幹の『東西南北』が出たころ、露伴の「雲の袖」、紅葉の「
多情多恨」、柳浪の「今戸心中」あたりが書かれた頃に当るはずである。東京に鉄道馬車....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
、ソコドキ、ツブタチ、アワダツという三ツの慌しいモガキ方をして死んだそうである。
多情多恨で、失敗を演じているのは神々の通例、大国主などはそれによって人気いや増す....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
も「アレは空談サ」とばかり一笑に附してしまったから今|以て不可解である。二葉亭は
多情多恨で交友間に聞え、かなり艶聞にも富んでいたらしいが、私は二葉亭に限らず誰と....
「三国志」より 著者:吉川英治
て、もう自分らもあなたの心事を疑うような気もちは抱いておりません。むしろ大丈夫の
多情多恨のおこころを推察しておりますよ。例えば、私が酒を愛するようなものですから....
「三国志」より 著者:吉川英治
の使命は、新しい世紀を興すにあるが、創造のまえに破壊がともなう。……ああいかん、
多情多恨にとらわれては」 ひとり建章殿の階に坐って、星天を仰ぎ、じっと黙思して....
「三国志」より 著者:吉川英治
遠征して、かえって惨敗を負って帰ったので、彼の絶大な自信にゆるぎがきたのか、また
多情多恨な彼のこととて、今なお、芙蓉帳裡の明眸や、晩春の夜の胡弓の奏でが忘れ得な....