多用[語句情報] »
多用
「多用〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多用の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「護持院原の敵討」より 著者:森鴎外
云った。「お前の宿から使が来ているがね、母親が急病だと云うことだ。盆ではあり、御
多用の所だが、親の病気は格別だから、帰ってお出。親御に逢ったら、夜でもすぐにお邸....
「元禄十三年」より 著者:林不忘
あろうから、まあ、どうにかなるでしょう。などと考えて、あえてあわてませぬ。」 「
多用です。お手前ごときを弄して、暇を欠かしてはおられん。が、当日さし上げるお料理....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
すみませなんだ。その後、すぐ見物ながら楽屋をたずねようと思うていたに、さまざまな
多用、失礼をしました。ますます人気絶頂お目出たい」
雪之丞は、そらさずに、
「....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
うということになった。 故人が、貧民救済には、随分心を用いていたのだけれども、
多用だったり、基金が無かったりして、意のままにはならないで終ってしまったから、自....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
読者を迷わす。終始一貫の説を述べ論を著わすは難くもあるかなだ。まして本篇などは、
多用の片手間に忙ぎ書くもの故、多少前後|揃《そろ》わぬ処があってもかれこれ言うな....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
を乾かして痢病に用い、殊に汗を減ずるに使い、その木を網の浮きとするなど、すこぶる
多用な木だが、一番珍重さるるはその実で外部木質、内に少し酸《す》く冷やかな軟肉あ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の身にとって、近ごろ絶えて無いこと、よろこばしう存ずる。ただし、好意に甘えて、御
多用の時間を長くおさまたげすべきではないから、手っとり早く申し述べたいが、いった....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
」
鍛冶富は、すわるとすぐ煙草《たばこ》入れをスポンと抜いてから言った。
「御
多用でごわしょう……」
ぽつんとこたえて、喜左衛門は気がなさそうである。鍛冶富....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
こえて来る。蛙が円い声で鳴いている。今日は勘定日でお母様はきのうからその準備で御
多用。達、隆二人は、虹ヶ浜とかへお嫁の荷をつんで出かけました。きょうはそっちもい....
「父の形見」より 著者:豊島与志雄
室に集ったのは、ごく近親の者と親しい者だけだった。不慮の事件のためには、いろいろ
多用だった。君の父は始終沈着で、何かと指図する役目の方に廻っていた。そして常に矩....
「中庸」より 著者:坂口安吾
遺族かと思えば余の胸はつぶれる思いであった。 余は羽生のもとへ引返して、 「御
多用中相済まぬが、ひとつ商談に乗っていただきたい。私が私財で宿直室に床を張りたい....
「教育の事」より 著者:福沢諭吉
たざるもの多きを疑うてこれを咎《とが》むるのみ。 その口実に云《いわ》く、内外
多用なるが故に子を教うるの暇《いとま》なしと。内外の用とは何事を指していうか。官....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
いいが、三次とやら」 「やらはござんすまい……ご存じの仲で」 「揚げ足をとるな。
多用な役宅のことじゃによって、用向きの次第、簡単に承ろう」 「簡単にね、結構でご....