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「多福〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

多福の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
い」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに古びた阿多福人形《おたふくにんぎょう》が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
だんながないしょのご用とおいでなすったんじゃねえか。これがえにしになって、あのお多福がだんなの玉のこしに乗られるとなりゃ、おいらが一門の名誉というものだ。ようが....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
うと、さっそく行ってみるてえと、生意気じゃござんせんか。あんな年増《としま》のお多福が、女でございもねえんですよ。でもね、死んでみりゃ仏じゃあるし、仏となってみ....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
自由になるものは、――犬猫を飼ってもそうだろうが――それが人間であれば、いかなお多福でも、一層可愛くなるのが人情だ。国府津にいる間は可愛がってやろう、東京につれ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
けて、急激に、ドシンと突きつけられた。壁の電話がガチャンと鳴った。鼻が送話器にお多福饅頭のようにはまった。顔の中央は、鼻梁が真中から折れて、喇叭の型に円く窪んで....
暗号の役割」より 著者:海野十三
節が切れ切れにとびこむ…… 水鉛鉱のすばらしい鉱山が見つかった。 その仮称お多福山の場所は秘密だ。 おぬしだけが知っているんだ。 とんでもない。 金山....
大阪発見」より 著者:織田作之助
「めをとぜんざい」と書いた大提灯がぶら下っていて、その横のガラス箱の中に古びたお多福人形がにこにこしながら十燭光の裸の電灯の下でじっと坐っているのである。暖簾を....
巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
絹糸のようにデリケートな巴里の女が腕をからんで現われた。 仲好三人 お多福さんとタチヤナ姫と、ただの女と――そう! どう思い返してもこう呼ぶのがいい―....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
々にサガミ女をさがして歩いていたそうだが、この店にもサガミ女がいるのかい」 「お多福で相すみませんが、私もサガミの女ですよ。鶴巻温泉からずッと山の奥へはいった方....
起ち上る大阪」より 著者:織田作之助
はれ」と言ったので、私は、 「サアナア、しかし、夫婦善哉といえば、あの法善寺の阿多福の人形は助かったらしい。疎開していたから、きっとどこかで無事に残ってる筈だよ....
深川女房」より 著者:小栗風葉
俺の気に入るんだから」 「およしよ、からかうのは。私のようなこんな気の利かないお多福でなしに、縹致なら気立てなら、どこへ出しても恥かしくないというのを捜して上げ....
女の顔」より 著者:上村松園
だか顔の道具が総体伸びやかで少し間の抜けたところもあるようです。先ず歌麿以前はお多福豆のような顔でしたが、それからは細面のマスクになって居ります。然しいずれの世....
西航日録」より 著者:井上円了
一例に、チベット人は胎内を出でてより死するまで沐浴することなく、身体に垢の多きは多福の相なりという。これに加うるにチベット人は顔面にバターを塗る習慣あれば、垢と....
五重塔」より 著者:幸田露伴
を、狐憑きめ忌々しい、と駄力ばかりは近江のお兼、顔は子供の福笑戯に眼をつけ歪めた多福面のごとき房州出らしき下婢の憤怒、拳を挙げて丁と打ち猿臂を伸ばして突き飛ばせ....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
てはよほど自慢なのだが、謙遜な微笑をわざと浮べて、 「そら、わたいらのような、お多福はあきまへん、太閤さんのお妾さんと比較するのは比較するのが無理だす」 「いや....