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多言
「多言〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多言の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「想片」より 著者:有島武郎
我等」の三月号にのせた「雑信一束」(「片信」と改題)にもいってあるので、ここには
多言を費やすことを避けよう。
私の目前の落ち着きどころはひっきょうこれにすぎな....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
合があまりにも多い。そうして、喧《やかま》しい饒舌《じょうぜつ》や空《むな》しい
多言は、幻影を実有のごとくに語るのである。しかし、我々はかかる「出来合《できあい....
「文芸と道徳」より 著者:夏目漱石
る文芸というものもまた同じ方向に同じ意味において発展しなければならないのも、また
多言を要せずして明かな話であります。もし活社会の要する道徳に反対した文芸が存在す....
「令狐生冥夢録」より 著者:田中貢太郎
啼女哭を免れず。東塗西抹、命の蹇し時の乖けるを救わず。偶不平を以って鳴けば、遽に
多言の咎を獲、悔、臍を噬むも及ぶなし。尾を揺かして憐を乞うを恥ず。今其罪名を責む....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
環境の中に保育されて来た国民にいかなる影響を及ぼすであろうか、ということはあまり
多言を費やさずとも明白なことであろう。複雑な環境の変化に適応せんとする不断の意識....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
書物について、自分は尚《なお》多くの書きたいこと、言いたいことを控えている。だが
多言は遠慮しよう。ただこの書物が、詩という芸術の真本質を、内容と形式との二部にわ....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
訪ねて行ったのだ。話がはずんで出征当時のことになった。 「今の僕なら、君」と少し
多言になって来た。友人は、酒のなみなみつげてる猪口を右の手に持ったがまた、そのま....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
し日本の正義を擁護発揚するためには、我が国防力の充実が中心的急務なることはここに
多言を要しない。努めて列強と提携し平和的外交折衝により進むべきは軍部も素より望む....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
録とも云えるけれども、要するに小説中の小説であり囈語中の囈語であることは、重ねて
多言を要しない。 自ら筆を執って書いた処もあれば、そうで無いところもあるが、要....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
種類の中でこのような「思考の実験」を行うに最も適したものは南画だという事はあえて
多言を要しない事と思う。そういう事はもう自分のここに云うとはちがった言葉で云い古....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
特長は猛進的《もうしんてき》なる奮闘《ふんとう》の力にある。このことを論ずるには
多言《たげん》を要せぬ。動物を見てもすみやかに天意のどこにあるやは察《さっ》しら....
「女流俳句を味読す」より 著者:杉田久女
の花をまゐりたれ てい子 この句はかつてホトトギスで評された句で、今更ここに
多言する必要もあるまい。好みの高い木彫雛に桜の花をまいりたれという、清純な取材な....
「上野」より 著者:永井荷風
完成することが出来ずにいる。都市のことを言うに臨んで公園の如き閑地の体裁について
多言を費すのは迂愚の甚しきものであろう。 昭和二年六月記....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
者の力次第で生命ある物体が生まれ出ると妄信することの危険を感ずるのままに、一言否
多言を費やした次第である。 本来、いやしくも茶趣味をもって立つほどの人であって....
「認識論としての文芸学」より 著者:戸坂潤
及びT・フィッシャー)の『美学』が正に芸術の認識論の名にも値いするということは、
多言を要しない。 芸術の認識論、それは芸術史から抽出された芸術の論理学とも云う....