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多趣
「多趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
の活力が外界の刺戟《しげき》に反応する方法は刺戟の複雑である以上|固《もと》より
多趣多様千差万別に違ないが、要するに刺戟の来るたびに吾が活力をなるべく制限節約し....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
っけない心持がした。 けれども道中は、道草を食うべく余儀なくされるだけそれだけ
多趣多様で面白かった。その中《うち》で宇宙創造論《コスモジェニー》と云う厳《いか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私には生来持ち合わしていない或る上品さ、或る聡明さが窺われるからだ。 何という
多趣多様な生活の相だろう。それはそのままで尊いではないか。そのままで完全な自然な....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
ものは、楢崎さんなんかの方がよくよんでいらっしゃるのじゃないかしら……わたしは、
多趣味というんじゃないんですもの」 のり子は、しずかに笑った。 「それはそうね....
「文壇の趨勢」より 著者:夏目漱石
争者が出て来ると、文壇の刺激は種類と種類の間に起る。種類が多ければ多いほど文壇は
多趣多様になって、互に競《せ》り合《あい》が始まる訳である。 もしこの二種類の....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
を形づくる。 読者よ、乞う吾儕の既に語りしところに顧み、江戸ッ児の天才が如何に
多趣多様なるかを攷えたまえ、そして更に、かくも普遍的なかれらの趣味が、現代に適せ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
けるに誂《あつら》え向きで、その例|迥《はる》かに男より多くその話もまたすこぶる
多趣だ。 慙《は》じて蛇になった例は、陸前佐沼の城主平直信の妻、佐沼御前|館《....
「高浜虚子著『鶏頭』序」より 著者:夏目漱石
在来ありふれた範囲内に押し込めるのは余の好まぬ所である。是は必ずしも虚子の作物が
多趣多様で到底《とうてい》概括し得ぬからと云う意味ではない。又は虚子が空前の大才....
「幕末維新懐古談」より 著者:田村松魚
お話を伺ったのでなく、お話を聴きたいために話して頂いたのであるが、この有益にして
多趣味のお話を我々両人の記憶にはとても残らずは記憶し切れないと思ったので、失念遺....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
高知の今井貞吉君は今は疾くに故人となったが、同君は多識なうえにすこぶる器用でかつ
多趣味な人で、よくいろいろのことに通じていた。その中でも特に古銭に精しく斯界での....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
り。午後六時抜錨。湾内の夜景、実に吟心を動かす。 遼湾風浪晩来恬、涼月印夜港頭却
多趣、万灯影裏一峰尖。 (遼湾の風浪は夕方になっておだやかとなり、すずしげな月が....
「徹底的な浜尾君」より 著者:甲賀三郎
にも亦深い趣味と諒解があって、誠に多芸多能の人であった。 こうした性格、学識、
多趣味は最も随筆に必要な事であって、又それらのものは必ず随筆のうちに現われるもの....
「三国志」より 著者:吉川英治
経」という琴の沿革や七絃の音譜を書いた本も残されている。真偽は知らないが、孔明が
多趣味な風流子であったことは事実に近いようである。「歴代名書譜」にも、 ――諸....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ている。 とにかく、ものを書くとか考えるとかいう仕事は、自分の生活を深くもし、
多趣多味にもしてくれるが、一面、生涯の時間を、非常に短く思わせる気がしてならない....