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「夜を明かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜を明かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
女が、いかにも女の都の京都らしく、あるいは一夜妻の、そして土曜夫人として週末の一夜を明かすと、日曜日の朝の河原町通りは、昨夜の男が子供にせがまれていそいそと玩具....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
おうと思ったが、焦《あせ》ってはならぬと思い返して、その夜は樋田駅の宿に焦慮の一夜を明かすと、翌日は早く起き出でて、軽装して樋田の刳貫へと向った。 刳貫の入口....
世相」より 著者:織田作之助
置いたのがせめてもの慰めであった。隣の飾窓で蝨をつぶしている音を聴きながら、その夜を明かすと、もう暮の二十八日、闇市の雑閙は急に増えて師走めいた慌しさであった。....
俊寛」より 著者:菊池寛
をもっと苦しめるための故意からするように、三反ばかりの沖合に錨を投げて、そこで一夜を明かすのであった。 俊寛は、終夜浜辺に立って、叫びつづけた。最初は罵り、中....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
果てた。 その一人は足を傷つけて宿舎へも帰られず、かの樹の下に転がったままで一夜を明かすと、夜半に及んで何者か尋ねて来たらしく、樹にむかって話しかけた。 「戦....
わが町」より 著者:織田作之助
吹き飛ばされ、道路は崩れて、橋も流された。それでも腑抜けず、ぶるぶるふるえながら夜を明かすと、死骸を埋めた足で早速工事場へ濡れ鼠の姿を、首垂れて現わした。 マ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ても肯かないのである。 「おまえ達はほかの部屋に寝ろ。おれはどうしてもあの楼に一夜を明かすのだ」 あくまでも強情を張り通して、彼は妻子|眷族を別室に宿らせ、自....
春の槍から帰って」より 著者:板倉勝宣
木をきる手がこごえてくる。軒から小屋にはいこんで、雪の穴に火を焚きながら吹雪の一夜を明かすと、春はまったくかげをひそめた。槍沢の小屋の屋根に八尺の雪をはかり、槍....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
立って、日本アルプスを踏破した。 三千六百〇三尺、奥穂高の登山小屋で、愉快に一夜を明かすことになった。 案内の強力は佐平と云って、相当老年ではあったけれど、....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
持ち、また、あなたの神経が非常に強いというのであれば格別、さもなければあの家で一夜を明かすということは、まあ、お考えになったほうがよろしくはないかと思います」 ....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
、しかし、文子のいる東京はもうすぐだ。そう思うと、いくらか元気が出て、泣きながら夜を明かすと、また歩きました。 東京へ着いたのは、大阪を出て十八日目の夕方でし....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
しくなったのでございますが、二人ながらおちおち眠られませんでした。 寝苦しい一夜を明かすと、あしたは晴れていて朝から暑くなりました。雷に撃たれた銀杏の木は、大....
夜光虫」より 著者:織田作之助
。 一軒ずつ当ってみたが、みな断られた。 「だめだね」 もう地下鉄の中ででも夜を明かすより方法がない、と娘の方へ半泣きの顔を向けると、 「もう一軒当ってみま....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
下ることかえって上るよりも遅く、昨日にぎやかに野宿せしあたりにて、雨に濡れながら夜を明かすなるべしとて、心落付かず。心配しても仕方なしと思いながらも、なお心配せ....
「明治のおもかげ」序にかえて」より 著者:喜多村緑郎
は、愛想をつかす方が尤もと思うと、雨垂れほどに戸も叩けず、すごすご近くの聖天山で夜を明かすのが例にさえなった。……いろいろと隅田川の夜明けの景色だけは深く身に沁....