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夜一夜
「夜一夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜一夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
神は父の老翁に、こういう慮りから、宿は村里の誰かの家へ取ってあげますから、祭の今
夜一夜だけは自分の家をば遠慮して欲しいと頼んだのであった。 翁のふる郷の西国の....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
の方へ引かれていった。これがふだんの時であったら、彼も自分の宿に眠って安らかに今
夜一夜を過《すご》すことが出来たかも知れないが、祇園の酒も今夜かぎりだと思うと、....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
感情に壓せられて勇気の振いおこる余地が無いのである。 宵から降り出した大雨は、
夜一夜を降り通した。豪雨だ……そのすさまじき豪雨の音、そうしてあらゆる方面に落ち....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
「馬鹿な人間は困っちまいます――魚が可哀相でございますので……そうかと言って、
夜一夜、立番をしてもおられません。旦那、お寒うございます。おしめなさいまし。……....
「海異記」より 著者:泉鏡花
んだ。」 「じゃ、やっぱり弱虫じゃないか。」 「だって姉さん、ベソも掻かざらに。
夜一夜亡念の火が船について離れねえだもの。理右衛門なんざ、己がベソをなんていう口....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
のっけから対手にならず、待合申すまでも無い、辞退。席貸をと思いましたが、やっぱり
夜一夜じゃ引退るんです。第一、人数が二十人近くで、夜明しと来ては、成程、ちょっと....
「食魔」より 著者:岡本かの子
たと見え、ビールが数本届いていた。それを座敷へ運んで来て、鼈四郎は酒に弱い癖に今
夜一夜、霰の夜の闇を眺めて飲み明そうと決心した。この逞しい闇に交際って行くには、....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
うっかり約束をしてしまって、後で大いに呻った。 約束は約束だ。そこで探偵はその
夜一夜まんじりともしないで脳細胞を酷使した揚句、夜の明けるのを待って、稀代の怪賊....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
刀が、縁の下か、天井か、承塵の途中か、在所が知れぬ、とあっては済まぬ。これだけは
夜一夜さがせ、と中に居た、酒のみの年寄が苦り切ったので、総立ちになりました。 ....
「女客」より 著者:泉鏡花
大変な蚊でしたよ。けれども、それは何、少いもの同志だから、萌黄縅の鎧はなくても、
夜一夜、戸外を歩行いていたって、それで事は済みました。 内じゃ、年よりを抱えて....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
旧の大晦日と申しますと、諸国の講中、道者、行者の衆、京、大阪は申すに及びませぬ、
夜一夜、古市でお籠をいたしまして、元朝、宇治橋を渡りまして、貴客、五十鈴川で嗽手....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
れそこに、それ、主たちの廻りによ。」 「あれえ、」 「およそ其奴等がなす業じゃ。
夜一夜踊りおって騒々しいわ、畜生ども、」 とハタと見るや、うしろの山に影大きく....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
地は、入口が狭いので、どうしても借家まで屋台を曳込むことが出来ないので、そのまま
夜一夜置いたために、三晩とは措かず盗まれてしまったので、祖父は最後の目的の水の泡....
「墓」より 著者:秋田滋
ちょうどその時でした。わたくしは捕ってしまったのです。 わたくしは、その晩、
夜一夜、ちょうど愛の抱擁をした人間が女の体臭を大切にもっているように、その腐肉の....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
しい、看護婦さんと、もう一人職人のような若い衆が、もうつきッきりで、この間ッから
夜一夜一目も寐なさらないで、狂人のようですよ。) 私は愛吉とは思いも寄らない、....