夜営[語句情報] » 夜営

「夜営〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜営の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
マイルという地点に接近した時であった。彼の大隊は、ライ麦の黄色く実った丘の上に、夜営を張った。その丘の六百メートルばかり右にも檜《ひのき》のまばらに生えているも....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れば沢がちかいのだ。気のせいか、草の丈がだんだんに伸びてゆく。間もなく、第一日の夜営地になる、うつくしい沢地があらわれたのだった。 水際には、蜀葵やひるがおの....
古き小画」より 著者:宮本百合子
余りあるほどだ。夥しい兵と、数百の乗馬、荷驢馬の長いうねうねした列は、彼方此方で夜営のかがりを燃き、平和に、寧ろ巡礼旅行者のように進行した、イランの国境に迫る迄....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
焦げて捨ててあった、その近傍の窪地を選んで、偃松と偃松との間に、油紙を掛け渡し、夜営地を張り、即刻焚火をした、手でも、足でも、寒気に凍えて、殆んど血が通ってると....
音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」より 著者:寺田寅彦
魂がピーターパンの幽霊のような姿に移って横にけし飛んだと思うと、やがて流浪の民の夜営のたき火のかたわらにかなでられるヴァイオリンの弦のしらべに変わる。この音の流....
春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
にしてはなかなかいい。四時すぎに烏帽子沢が右手から雪の坂をなして落ちあうところを夜営地とした。小十は勇ましく崖を登って木をきりだした。行手には明日越えるはずの常....
春の槍から帰って」より 著者:板倉勝宣
州の山のように谷のほか登れないところならば、どうも仕方がない。人夫を連れていれば夜営は、そんなに早く着かないでも間にあう。木をどんどんきってもらって、われらは寝....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろう、だから乱暴をしてはいけねえ」 この不得要領な貧窮組は、その夜は昌平橋際へ夜営をしてしまいました。このくらいの騒ぎだから役人の方へも聞えないはずはありませ....
日輪」より 著者:横光利一
進することも出来なかった。彼らはその日、まだ太陽の輝いている中から河原の芒の中で夜営の準備にとりかかった。 遠い国境の山の峯が一つ高々と煙を吐いていた。太陽は....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
歩けたでしょう、その雪の下にだけかたい地面がある道を。郭沫若という作家の紀行に、夜営して第一の日、柔かい草をよろこんで眠ったら翌日体がきかないほど湿気をうけ、石....
或る夜の武田麟太郎」より 著者:豊島与志雄
で、所謂土手の小林は、吾々市井の酒飲みにとって、楽しい場所だった。 この家は終夜営業していた。この点では品川の三徳と双璧だが、三徳の方は深夜になると戸を閉める....
三国志」より 著者:吉川英治
して、わが陣地へ帰ってしまった。そして久しぶりに、帳を垂れて長々と眠りかけると、夜営の哨兵が、なにか呶鳴る声がした。 「……何か?」と、身を起していると、常に彼....
三国志」より 著者:吉川英治
炎日の下を、蜿蜒と続いてゆく。孔明は一隊ごとに、軍医を配し、糧食飲料のことから、夜営の害虫や風土病などについて、全軍の兵のうえに細心な注意をそそいだ。 「天子の....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
美観を極む。四時鬼怒沼。五時原の東南の空沢を下り、六時大絶壁に遇い、下る能わず。夜営。夜風雨。 暁方目を覚すと霧が間近の木から木へ鼠色の幕を張り渡していた。夜....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
印象された私達の夢の囁きを聞くことであろう。 七月三十日。午前六時十五分、劒沢の夜営地出発。三窓の雪渓を登り、八時十五分、三窓着。八時二十五分、出発。左に崖腹を....