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夜泊
「夜泊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜泊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
みがた》の、沖つ州に、船は停《とど》めむ、さ夜更けにけり。 しとしとと来た雨の
夜泊の船中で、寝《い》ねがてた苫《とま》の雫の音を聞いていると翁の胸はしきりに傷....
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
主に向い、「私はボストンまで往かなければならぬ、しかしながら日が暮れて困るから今
夜泊めてくれぬか」というたら、旅籠屋の亭主が、可愛想だから泊めてやろう、というて....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
《うち》を明けたことはありますかえ」 「いえ、あしかけ七年のあいだに、唯の一度も
夜泊まりなどを致したことはございません。時が時でございますから、主人も心配いたし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、いいえ決してそんなことはないと、どこまでもしらを切っているんです」 千次郎は
夜泊りなどをする様子はない。商売用のほかに方々遊びあるく様子もない。合羽坂にいる....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
と目ざましく発展するので、この頃では横浜見物も一つの流行ものになって、江戸から一
夜泊まりで見物に出かける者もなかなか多かった。 年の若い松吉は御用の旅で横浜見....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
学中も、雨桐はじめ烏金の絶倍で、しばしばかいがんの掴みだと思うと、手八の蒔直しで
夜泊の、昼流連。祖母さんの命を承けて、妹連から注進櫛の歯を挽くがごとし。で、意見....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
の、二人の娘を二人とも花魁に売ったという人だった。のみならずまた曾祖母も曾祖父の
夜泊まりを重ねるために家に焚きもののない時には鉈で縁側を叩き壊し、それを薪にした....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
幾次郎に買われた。お国はそのとき二十歳で、この店の売れっ妓であったが、見すみす一
夜泊まりと判っている江戸の若い客を特別に取り扱ったらしく、その明くる朝は互いに名....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
えました。 「置いてけえ」 阿部さんは不図かんがえました。 「新五郎。おまえ今
夜泊まってくれないか。いや、看病だけならお幾ひとりで沢山だが、おまえには別に頼む....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
しかしまた一方から考えると、今日の一般浴客が無遠慮になるというのも、所詮は一
夜泊まりのたぐいが多く、浴客同士のあいだに何の親しみもないからであろう。殊に東京....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
寒くなりかかった夕ぐれに、ひとりの若い娘が落葉を浴びながら伊平の門口に立って、今
夜泊めてくれと頼んだ。ひとり旅の女を泊めるのは迷惑だとも思ったが、その頼りない姿....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
の向こうには有名な楓橋があって、その橋の上から見下ろしておもいをはせれば、楓橋の
夜泊、寒山寺の鐘啻ひびきわたるところ「落月鳴烏霜満天……」の詩が生まれたのも宣な....
「五色蟹」より 著者:岡本綺堂
けては少し気味が悪いかも知れないと思いやられた。 その隣りへ、こっちの三人が今
夜泊まりあわせたので、かれらは余ほど気丈夫になったらしく見えた。そうなると、こち....
「温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
しかしまた一方から考えると、今日の一般浴客が無遠慮になるというのも、所詮は一
夜泊りのたぐいが多く、浴客同士のあいだに何の親しみもないからであろう。殊に東京近....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
はよほど低くなった。物質上にも次第に逼迫して来たからであろうが、自暴自棄の気味で
夜泊が激しくなった。昔しの緑雨なら冷笑しそうな下等な遊びに盛んに耽ったもので、「....