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「夜番〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜番の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
冬の日」より 著者:梶井基次郎
れている。そこではもう転輾《てんてん》することさえ許されないのだ。 夜が更けて夜番の撃柝《げきたく》の音がきこえ出すと、堯は陰鬱な心の底で呟《つぶや》いた。 ....
家霊」より 著者:岡本かの子
」 と言って老人を送り出してから表戸を卸す。 ある夜も、風の吹く晩であった。夜番の拍子木が過ぎ、店の者は表戸を卸して湯に出かけた。そのあとを見済ましでもした....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
人の足音をも聞かんと耳を澄ませば、夜はようやく更けていよいよ静かだ。 表通りで夜番の拍子木が聞える。隣村らしい犬の遠ぼえも聞える。おとよはもはやほとんど洗濯の....
赤外線男」より 著者:海野十三
前二時頃だったかと思いますが、見廻わりの時間になりましたので、懐中電灯をもって、夜番の室から外に出ようとしますと、気のせいか、どっかで物を壊すようなゴトゴトバリ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
取られた。その前に先祖から伝えられていた金も道具も失くしていた。だからこの夏期は夜番と云いつくろって父娘二人水泳場へ寝泊りである。 駸々と水泳場も住居をも追い....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
近の枯芝は何時頃焼いたか? 一、裏庭側全部の鎧扉に附着している氷柱の調査。 一、夜番について、裏庭における昨夜十一時半以後の状況聴取。 それからほどなく、闇....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
無事に済みました」 土偶 鄭安恭が肇慶の太守となっていた時のことである。夜番の卒が夜なかに城中を見まわると、城中の一つの亭に火のひかりの洩れているのを発....
古狢」より 著者:泉鏡花
た。 「ぎゃっと云って、その男が、凄じい音で顛動返ってしまったんですってね。……夜番は駆けつけますわ、人は騒ぐ。気の毒さも、面目なさも通越して、ひけめのあるのは....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
かし番太郎と言って、町内の走り使人、斎、非時の振廻り、香奠がえしの配歩行き、秋の夜番、冬は雪|掻の手伝いなどした親仁が住んだ……半ば立腐りの長屋建て、掘立小屋と....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
思いで表の道路へ飛び出ることが出来た。消火することは全く不可能である。兄は工場の夜番で戻っていなかった。乳母は田舎に残っていた。私達は不思議に死に直面しながら死....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
した。参事官は玄関の戸に足をむけて腹ンばいになっていたのです。すぐむこうには町の夜番が、すわって寝込んでいました。 「やあたいへん、おれは往来で寝て、夢をみてい....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
したまま考えている。腑に落ちないことでもあるのだろう。 夜は深々と更けて行く。夜番の鳴らす拍子木の音が、屋敷を巡って聞こえるのさえ、今夜は沁々と身に浸る。戸の....
奇巌城」より 著者:菊池寛
が見えた。バルメラ男爵は恐る恐る窺ってみると、一人の番人が立って銃を負っている。夜番の男は二人を見たのであろうか、きっと見たに違いない、何か怪しいと思ったから銃....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
よ。一昨年ずらい。菜売の年増女さ、身体あ役に立たなくなったちで、そこな瓜番小屋へ夜番に出したわ。――我が身で火をつけて、小屋ぐるみ押焦げたあだ。真夜中での、――....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
って、誰やらごろ寝していた。 テントの中のカンテラの灯、血のような豆の灯。 「夜番しているのです。盗まれるといけないから。」 「何を。」 「あの鰊や蟹を。」 ....