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夜目
「夜目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
から耳のとがった、牙《きば》の鋭い、狩犬が六七頭すさまじいうなり声を立てながら、
夜目にも白くほこりを巻いて、まっしぐらに衝《つ》いて出た。続いてそのあとから十人....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
と、わたしはある軒下《のきした》に隠れながら、往来の前後を見廻しました。往来には
夜目にも白々《しろじろ》と、時々雪煙りが揚《あが》るほかには、どこにも動いている....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
よいの空を想《おも》わせる、ある夜の事でございましたが、その夜は珍しく月が出て、
夜目にも、朧《おぼろ》げには人の顔が見分けられるほどだったと申します。若殿様はあ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
舟《ちょきぶね》は、一段と櫓《ろ》の音を早めながら、今ではもう両国橋を後にして、
夜目にも黒い首尾《しゅび》の松《まつ》の前へ、さしかかろうとしているのです。そこ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
》の中を僕の住居《すまい》へ帰りながら、のべつ幕なしに嘔吐《へど》を吐きました。
夜目にも白《しら》じらと流れる嘔吐を。
九
しかし硝子《ガラス》会社の社長....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
」と云う言葉が、ため息と一しょに溢《あふ》れて来た。と同時に胸も露《あら》わな、
夜目にも美しい娘が一人、「伯父様。」と声をかけながら、こちらを振り向いた老人の方....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
影の狛犬の下を寂しい往来へ出ようとすると、急にまた涙がこみ上げて来たのでしょう。
夜目にも美しい襟足を見せて、せつなそうにうつむきながら、「ああ、いっそ私は死んで....
「或る女」より 著者:有島武郎
ar to the Town.Fare 15¢”と大きな白い看板に書いてあるのが
夜目にもしるく葉子の眼窓《めまど》から見やられた。米国への上陸が禁ぜられているシ....
「星座」より 著者:有島武郎
空に向けて立ち連なっていた。思いなしか、そのずっと先の方に恵庭《えにわ》の奇峰が
夜目にもかすかに見やられるようだ。柿江にはその景色は親しましいものだった。彼がひ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
な石へ蒼味《あおみ》を帯びて透通《すきとお》って映るように見えた。
するとね、
夜目で判然《はっきり》とは目に入《い》らなんだが地体《じたい》何でも洞穴《ほらあ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
突き出た造りぞこねの防波堤は大蛇の亡骸のようなまっ黒い姿を遠く海の面に横たえて、
夜目にも白く見える波濤の牙が、小休みもなくその胴腹に噛いかかっている。砂浜に繁わ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
ではおれは行って来るから」 老人は杜子春に別れを告げると、又あの竹杖に跨って、
夜目にも削ったような山々の空へ、一文字に消えてしまいました。 杜子春はたった一....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、戸はあるが、片とざしで開いていた。 廻廊の上を見れば、雪空ででもあるように、
夜目に、額と額とほの暗く続いた中に、一処、雲を開いて、千手観世音の金色の文字が髣....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
三人目の、内裏様を一対、両手に持って、袖で掻合して胸に押着けていたのがお夏さん、
夜目にも確か、深川中探したって、およそその位なのはないのですからね、……助かった....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ず。ゆっくり洗って、置手拭、日和下駄をからからと帰り途、式部小路を入ろうとして、
夜目にもしるき池の坊の師匠が背戸の山茶花を見て、しばらくしたのは、恐らく生れては....