夜着[語句情報] » 夜着

「夜着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
訣《わけ》には行かなかった。 玄鶴は「離れ」に床をとり、横になっていない時には夜着の山によりかかっていた。重吉は外套や帽子をとると、必ずこの「離れ」へ顔を出し....
」より 著者:芥川竜之介
《とうしん》が一本火を澄ましていた。そのまた位牌を据えた机の前には娘たちが二人|夜着《よぎ》をかぶっていた。僕はめっきり年をとった従姉の顔を眺めながら、ふとあの....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
。いつか使に来た何如璋《かじょしょう》と云う支那人は、横浜の宿屋へ泊って日本人の夜着を見た時に、「是《これ》古《いにしえ》の寝衣《しんい》なるもの、此邦《このく....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
っても、風が吹いても、川一つ隔てた藪や林は、心細い響を立て易かった。お蓮は酒臭い夜着《よぎ》の襟に、冷たい頬《ほお》を埋《うず》めながら、じっとその響に聞き入っ....
或る女」より 著者:有島武郎
った事が二三度ある――それがほんとうだったのではないかしらんとも思われた。そして夜着にかけた洗い立てのキャリコの裏の冷え冷えするのをふくよかな頤《おとがい》に感....
星座」より 著者:有島武郎
は寝たまま含嗽《うがい》をすると、頸に巻きつけている真綿の襟巻を外《はず》して、夜着を深く被った。そして眼をつぶって、じっと川音に耳をすました。そこから何んの割....
クララの出家」より 著者:有島武郎
上にそっくり置くと、忍び足に寝台に近よってしげしげと二人の寝姿を見守った。そして夜着をかけ添えて軽く二つ三つその上をたたいてから静かに部屋を出て行った。 クラ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
軽い男。……もっとも甘谷も、つい十日ばかり前までは、宗吉と同じ長屋に貸蒲団の一ツ夜着で、芋虫ごろごろしていた処――事業の運動に外出がちの熊沢旦那が、お千さんの見....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
身をやつす。 いや……と言ったばかりで、外に見当は付かない。……私はその時は前夜着いた電車の停車場の方へ遁足に急いだっけが――笑うものは笑え。――そよぐ風より....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
も貴下、そんなことを。」 と幽かにいいて胸を圧えぬ。 時彦は頤のあたりまで、夜着の襟深く、仰向に枕して、眼細く天井を仰ぎながら、 「塩断もしてるようだ。一昨....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ょう。 嚔もならず、苦り切って衝立っておりますると、蝙蝠は翼を返して、斜に低う夜着の綴糸も震うばかり、何も知らないですやすやと寐ている、お雪の寝姿の周囲をば、....
野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ました。エリーザの編んだ、かたいとげで燃えるようなくさりかたびらが、羽根ぶとんと夜着になりました。けれどエリーザにとって、それよりうれしいおくりものはありません....
一寸怪」より 著者:泉鏡花
発端は五月頃、庭へ五六輪、菖蒲が咲ていたそうでその花を一朝奇麗にもぎって、戸棚の夜着の中に入れてあった。初めは何か子供の悪戯だろうくらいにして、別に気にもかけな....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
祖母の傍でも、小さな弟と一所でも、胸に思うのも憚られる。……寝て一人の時さえ、夜着の袖を被らなければ、心に描くのが後暗い。…… ――それを、この機会に、並木....
活人形」より 著者:泉鏡花
偵とかいう人は、茶菓子を無銭でせしめて去んだ。と苦々しげに呟きて、あら寝たや、と夜着|引被ぎ、亭主を見送りもせざりける。 得右衛門を始めとして四人の壮佼は、茶....