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夜陰
「夜陰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜陰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
うにと云う沙汰が、凶兆《きょうちょう》のように彼を脅《おびやか》したからである。
夜陰に及んで、突然召しを受ける。――そう云う事は、林右衛門の代から、まだ一度も聞....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
うに陸上で公然と取引きをするのではなかった。彼は抜荷《ぬけに》買いというもので、
夜陰《やいん》に船を沖へ乗り出して外国船と密貿易をするのであった。密貿易は厳禁で....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
」と、千枝太郎はそれとなく探りを入れてみた。 「なんの、お慎みの折柄じゃ。まして
夜陰《やいん》にどこへお越しなさりょうぞ」と、家来は初めから問題にもしないように....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
といって微かに笑った。 作ってくれた朝飯の膳に向いあったとき、僕は庵主が、昨
夜陰影の強い灯影でみたよりも、更に年若いのに愕いた。よくは分らないけれど、ひょっ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
キャバレーの惨劇で、ジュリアの殺人を見たのが、運のつきだったんですネ。ジュリアは
夜陰に乗じてポントスの寝室を襲い、まずナイフで一撃を加え、それからあのレコードで....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
た氏。ひっそりと独りの部屋で爪を切って居た氏。黙って壁に向って膝を抱いて居た氏。
夜陰窓下の庭で上半身の着衣を脱いでしきりに体操をして居た氏。ふと、創作の机から上....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
近づき、手をつく。 夫人 (先んじて声を掛く。穏に)また見えたか。 図書 はっ、
夜陰と申し、再度|御左右を騒がせ、まことに恐入りました。 夫人 何しに来ました。....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ごとく、唾、涎の臭い乞食坊主のみではなかったのである。 「……あの、三味線は、」
夜陰のこんな場所で、もしや、と思う時、掻消えるように音が留んで、ひたひたと小石を....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
澄が、慌しく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段を踏立てて、かかる
夜陰を憚らぬ、音が静寂間に湧上った。 「奥方は寝床で、お待ちで。それで、お出迎え....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
で遊ばす姫御前の御身に対し、別事あってならぬと存じ、御遠慮を申すによって、わざと
夜陰を選んで参りますものを、何としてこの暗いに。これでは老人、身の置きどころを覚....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ひひひひ。」 「何をしておる。」 「少しも売れませんわい。」 「馬鹿が。」 と
夜陰に、一つ洞穴を抜けるような乾びた声の大音で、 「何を売るや。」 「美しい衣服....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
が、俄然、崩折れて、ぶるぶると身震いして、飛着くごとく良人に縋りて、血を吐く一声
夜陰を貫き、 「殺します、旦那、私はもう……」 とわッとばかりに泣出しざま、擲....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
り、高い宿賃を差引いて、僅かに三十両ばかり返した切。 三人はそれどころでなく、
夜陰に乗じて西中島を出立。それからどこへ行った事やら、再び、岡山へは来なかった。....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
返して行った。いわゆる飛ぶ鳥も落とすという威勢をもっている高武蔵守師直の息女が、
夜陰に忍んで尋ねて来る――それは確かにこの中国武士をおどろかしたに相違なかった。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
英国ロンドンへ向け進航す。その汽船はすなわちホワイトスター会社ペルシック号なり。
夜陰に入るまで南端の連山を迎送しつつ、西北を指して走る。 十七日、快晴。早朝よ....