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夜露
「夜露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜露の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
、二つに畳《たた》んだのを笠の中に入れた。笠も合羽もいつの間《ま》にかしっとりと
夜露《よつゆ》にしめっていた。すると、――急に便通を感じた。伝吉はやむを得ず藪《....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
糸は微笑《えみ》を含みて、呆《あき》れたる馭者の面《おもて》を視《み》つつ、 「
夜露に打たれると体《からだ》の毒ですよ」 馭者は黙して一礼せり。白糸はうれしげ....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
が胸を打って、耳を貫く。 何か、自分は世の中の一切のものに、現在、恁く、悄然、
夜露で重ッくるしい、白地の浴衣の、しおたれた、細い姿で、首を垂れて、唯一人、由井....
「春昼」より 著者:泉鏡花
た私に縋りついて、 (水を下さい。) と言うて起された、が、身体中疵だらけで、
夜露にずぶ濡であります。 それから暁かけて、一切の懺悔話。 翌日は一日寝てご....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
それはそれは、今頃は、露を沢山欲しがるのでございますよ。刻限も七つ時、まだ夕露も
夜露もないのでございますもの。(隣を視る)御覧なさいまし、女郎花さんは、もう、あ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の嫁御がそう言わしっけ。 其奴に、負けるな、押潰せ、と構わず褥を据えましたが、
夜露を受けたが悪かったか、もうお医者でも間に合わず。 (あなたも。……口惜い、)....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
したようで、尖がった目の光、髪はげ、眉薄く、頬骨の張った、その顔容を見ないでも、
夜露ばかり雨のないのに、その高足駄の音で分る、本田|摂理と申す、この宮の社司で…....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
歩を攀ずる足のそれよりも重かりしよ。掻い撫ずる掌を、吸い取るばかり、袖、袂、太く
夜露に濡れたり。 さて暗き樹の下を潜り、白き草の上を辿り行く。峰は近くなりぬ。....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
引寄せて、一|艘苫を掛けた船があった。海士も簑きる時雨かな、潮の※は浴びながら、
夜露や厭う、ともの優しく、よろけた松に小綱を控え、女男の波の姿に拡げて、すらすら....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、お兼は掌に据えて瞻りながら、 「節もなくなって細うなったし、体も弱々しくって、
夜露に打たれても毒そうではないか。」 「不景気なことを言ってらあ。麦畠の中へ引く....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
|判然して、ほたりと、耳許で響くかとするとまた幽になる。幽になって外の木の葉を、
夜露が伝うように遠ざかる。――が、絶えたり続いたりと云うよりは、出つ入りつ、見え....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
あらましを話せばうなずきて、「然らばよし、されど余り涼み過ると明日ダルキ者なり、
夜露にかかるは為悪し早く帰られたがよからん」との言に、「御注意有り難し」と述べて....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
欄干が遠く見えてぼうとなった。その霞に浮いて、ただ御堂の白い中に、未開紅なる唇が
夜露を含んで咲こうとする。…… 「あれえ。」 声を絞ると、擬宝珠の上に、円髷が....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
この形は分りません。いや、お優さんと一所でなくては。――一個、掌にのせました。が
夜露で、ひやりとして、玉の沓、珊瑚の枕を据えたようです。雲の形が葉を拡げて、淡く....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
した。親方と四人でね、柳の根方でしばらく、皆で、お嬢さんの噂ばかりしましたっけ。
夜露やら何やらで湿ッぽくばかしなって、しらしらあけの寒いのに皆悄れて別れたでさ、....