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夢中
「夢中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夢中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
が舞台へ登った晩である。僕はカルメンに扮《ふん》するはずのイイナ・ブルスカアヤに
夢中になっていた。イイナは目の大きい、小鼻の張った、肉感の強い女である。僕は勿論....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
百は、針へ髪の油をつけながら、不服らしくつぶやいた。
「きっとまたお書きもので、
夢中になっていらっしゃるのでしょう。」
お路は眼を針から離さずに、返事をした。....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
う。始は洞穴の入口に耳をつけて、じっと聞き澄ましていましたが、とうとうしまいには
夢中になって、一寸二寸と大岩を、少しずつ側《わき》へ開きはじめました。
それが....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
れ》と御笑いになって、
「爺よ。天《あめ》が下《した》は広しと云え、あの頃の予が
夢中になって、拙《つたな》い歌や詩を作ったのは皆、恋がさせた業《わざ》じゃ。思え....
「影」より 著者:芥川竜之介
刻もたゆまない凝視の眼を房子の顔に注いでいる。彼女は両手に顔を隠すが早いか、無我
夢中に叫ぼうとした。が、なぜか声が立たない。その時彼女の心の上には、あらゆる経験....
「河童」より 著者:芥川竜之介
つづけました。
河童もまた足の早いことは決して猿《さる》などに劣りません。僕は
夢中になって追いかける間《あいだ》に何度もその姿を見失おうとしました。のみならず....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ほど》祖母の願がかなったか、茂作は昨日《きのう》よりも熱が下って、今まではまるで
夢中だったのが、次第に正気《しょうき》さえついて来ました。この容子《ようす》を見....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
上
何小二《かしょうじ》は軍刀を抛《ほう》り出すと、
夢中で馬の頸《くび》にしがみついた。確かに頸を斬られたと思う――いや、これはしが....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
の話です。しかしこれはまたいつか報告する機会を待つことにしましょう。ただ半之丞の
夢中になっていたお松の猫殺しの話だけはつけ加えておかなければなりません。お松は何....
「白」より 著者:芥川竜之介
るのを! そら、自動車に轢《ひ》かれそうになりました! 白はもう命の助かりたさに
夢中になっているのかも知れません。いや、白の耳の底にはいまだに黒の鳴き声が虻《あ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に驚いて、四方へ一度に逃げて行った。が、それらの飼い主たちは拳を揮《ふる》うのに
夢中になって、しばらくは誰も家畜の行方《ゆくえ》に気をとめる容子《ようす》は見え....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
じょうかいにゅうどう》より物わかりが好《よ》い。物わかりが好ければ政治なぞには、
夢中になれぬ筈ではないか? 理非曲直《りひきょくちょく》も弁《わきま》えずに、途....
「墓」より 著者:秋田滋
ってみると、どうやら小屋のまわりをルンペンか何かが徘徊してでもいるらしく、犬は、
夢中になって吠えながら、頻りに戸の下のところを嗅いでいる。そこで墓番のヴァンサン....
「寡婦」より 著者:秋田滋
た挙句の果に、かれこれ六十五にもなろうという年をして、自分のところの小作人の娘に
夢中になってしまいました。私はその男も女もよく識っております。その娘は金色の頭髪....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
も幻想にふけりながらうろついているのである。彼らは、ありとあらゆるふしぎな信心に
夢中になり、夢幻の境に遊んだり、幻想におちいったりするし、しばしば奇怪なものを見....